【井荻】

「科学と自然の散歩みち」がある街

井荻

ひまわりの花が咲く夏の井草森公園

井荻

IOGI

JR荻窪駅から2kmほど北、練馬区との区境に近い区の北部に西武新宿線の井荻駅がある。東西の移動は西武新宿線の電車、南北の移動はバスが便利で、バスは荻窪駅行き、西荻窪駅行き、石神井公園駅行き、南田中車庫行きがある。

井荻駅のすぐそばの線路を交差する環状八号線は、地下のトンネルと線路をまたぐ陸橋がかけられ、踏切はない。 当地域は、1907(明治40)年に井荻村の発展に尽くした名村長としても有名な内田秀五郎が村長に就任すると、明治後半から大正にかけて養蚕業も盛んになる。しかし、大正時代には大きな収益を上げていたものの、その後は時代の変化で廃れていった。現在は電車やバスの交通網が整備された住宅街として発展している。 また寺院や公園も多く、「科学と自然の散歩みち」は、この地域に住む小柴昌俊博士のノーベル物理学賞受賞と名誉区民の称号贈呈の記念事業として整備されたコースであり、四季を通してゆっくり散歩を楽しむことができる。

妙正寺公園にある小柴博士の手形とメッセージが刻まれた「夢のタマゴ」のモニュメント

妙正寺公園にある小柴博士の手形とメッセージが刻まれた「夢のタマゴ」のモニュメント

季節の花や樹木に囲まれて歩く

杉並区名誉区民でノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊博士の提案がきっかけとなり、2005(平成17)年に全長約12㎞の「科学と自然の散歩みち」が整備された。季節の花や樹木に囲まれたこの遊歩道は、井荻駅周辺や駅から南に延びる環八通りの東側の公園や遊歩道、こみちを周遊できるようになっている。

音楽家と動物たちのいる沓掛小のこみち

音楽家と動物たちのいる沓掛小のこみち

水辺が美しい区立妙正寺公園

水辺が美しい区立妙正寺公園

産業や科学の名残

明治から大正にかけては練馬大根が栽培され、養蚕業も盛んだった。1996(平成8)年には、区立井草森公園が開園した。旧通産省機械技術研究所の跡地で、戦前より機械の基礎研究や新技術の開発、戦時中には飛行機エンジンの試作も行われていたそうだ。

かつて、妙正寺公園のそばにあった杉並区立科学館は、プラネタリウムや天体望遠鏡も備えられ、多くの見学者が訪れたが、施設老朽化のため2016(平成28)年に閉館となった。

区立井草森公園の天然芝の運動場

区立井草森公園の天然芝の運動場

井荻村の名物だった「ひねたくあん」

井荻村の名物だった「ひねたくあん」

10月には神社の例大祭と寺の法会

地域を代表する中瀬天祖神社と妙正寺は、共に10月に例大祭と法会(ほうえ)が行われる。

妙正寺公園の南に位置する妙正寺は、江戸時代に三代将軍徳川家光が鷹狩りの際に立ち寄り武運長久を祈願し、葵の紋幕と朱印地五石を寄進したことで知られる御朱印寺。毎年10月25日には三十番神堂に葵の紋幕を掲げて一般に公開する法会がある。中瀬天祖神社では、毎年10月15日が例大祭である。

「子宝」と記された中瀬天祖神社の看板

「子宝」と記された中瀬天祖神社の看板

コンパクトにまとまっている商店街

井荻駅を中心とした地域と、環状八号線の西側の今川一丁目と東側の清水三丁目の地域に商店街がある。

井荻駅を中心に環状八号線を間に挟んで、東西に商店街が形成されている。スーパーマーケットの他にも個人が経営するパン屋やラーメン店があり、各店の一押しを楽しむのもよい。

環状八号線と妙正寺の西側の交差点周辺に飲食店などが並ぶ。

杉並区内の商店街情報は杉並区商店会連合会サイトへ

グランモンターニュの「井荻あんぱん」

グランモンターニュの「井荻あんぱん」

【豆知識】

「井荻」の地名の由来

1889(明治22)年の町村制施行の時に東多摩郡上井草、下井草、上荻窪、下荻窪の4村が合併して、井草の「井」と荻窪の「荻」とを組み合わせて命名された井荻村が前身である。現在では、「井荻」と名のつく町名は存在しないが、中学校名や駅名などに残されている。

DATA

井荻・年齢別人口

年齢別人口

井荻・産業の事業所数

産業の事業所数

  • 取材:矢野ふじね
  • 撮影:矢野ふじね、みっこ、坂田、おおつちさとべえ、NPO法人TFF
  • 掲載日:2020年02月03日