定番の「イチゴショート」と季節限定の「シャインマスカットのブラマンジェ」
功吉さんは長崎県の五島列島の出身で、上京後、新宿にあったフレンチの店で働いていた。「田舎の出で、それまで生クリームもあまり食べたことがなかったのですが、デザート部門の担当になっておいしさに感動したんです」とほほ笑む。その後、高円寺の老舗「トリアノン洋菓子店 高円寺本店」に20年間勤め、そのうち10年は店長として活躍。2012(平成24)年に独立し、顔なじみも多い高円寺に「ブラックマウンテン」をオープンした。店名は「黒山の人だかり」にちなんでいるという。
ショーケースには常時14~16種類のケーキが並ぶ。子豚や象の形のクッキーなど、かわいい焼き菓子も好評だ。定番商品のほか、夏はフルーツのゼリー、冬はプリンなど、季節に合った商品も並び、クリスマスシーズンにはヘクセンハウス(お菓子の家)も登場する。「保存料は一切使わず、クリームは生乳100%。自然の素材を使い、人に優しい、そういう感じで取り組んでいます」
以前はカフェを併設していたが、コロナ禍以降はケーキ店に専念。同じく「トリアノン」に勤めていた妻の智子さんもクッキーなどを作り、夫婦で店を切り盛りしている。智子さんの温かい接客もブラックマウンテンの魅力の一つだ。「妻が高円寺駅前の飲食店に食べに行って親しくなった方なども店に来てくれるんですよ」と功吉さん。
2024(令和6)年からは「すぎなみパン祭り・スイーツフェア」(※)に出店。焼き菓子やタルト、チーズケーキなどを販売している。
冒頭で紹介した「塩ブラックマウンテンショコラ」のほか、シンプルな「イチゴショート」も店のおすすめだ。ふわっと軽いくちどけの生クリームに、みずみずしいイチゴと、ふっくらとしたスポンジ。定番だからこそ素材の良さが伝わってくる。
土日限定販売のフルーツサンドも人気商品。シャインマスカットや白桃など、季節のフレッシュなフルーツと自慢の生クリームがたっぷりサンドされている。販売は14時頃からだが、毎回すぐに売り切れるので早めに買いに行くといいだろう。
功吉さんは、「一回食べてもらえると、たぶんおいしいと思ってもらえるのではないでしょうか。気軽に来てもらえるのが一番です」と話す。アットホームな雰囲気の店内で、気さくな夫妻とケーキが迎えてくれる、何度も通いたくなる店だ。
※すぎなみパン祭り・スイーツフェア:例年11月に「すぎなみフェスタ」内で開催されるイベント。区内のパン店や和洋菓子店が出店