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谷村一成さん

高円寺と四国の2拠点でパワフルに活躍中

高円寺と四国の2拠点でパワフルに活躍中

教育をはじめ地域の問題に精力的に取り組む

谷村一成(たにむら かずなり)さんは、たくさんの顔を持っている。杉並区内だけでも、街のごみ拾いを行う団体・NPO法人グリーンバード(※1)高円寺チームリーダーであり、阿佐谷北に事務所を構える行政書士であり、教育に関わるNPO法人の設立など、その活動は多岐にわたる。
また、生まれ育った香川県と行き来し2拠点生活を送り、四国でもNPO法人を立ち上げて教育や多文化共生問題などに取り組んでいる。さらに、フリーライター、介護士、認定ワークショップデザイナー(※2)という多彩な経歴・肩書を持つ谷村さんに話を伺った。

元高校球児という顔も持つ谷村一成さん

元高校球児という顔も持つ谷村一成さん

問題児と言われた大学時代。ごみ拾いから地域活動スタート

谷村さんのエネルギッシュな活動は大学時代から始まった。「中央大学法学部に在籍していた時に 、“変人学部”という学生有志のコミュニティを立ち上げたんです。現役の学生が“教授”として講義を行うというもので、話題にもなりましたが初めは賛否両論ありましたね。問題児と言われたこともありました」と谷村さんは懐かしそうに笑う。
大学入学を機に上京し、最初は八王子に、大学4年生の2018(平成30)年2月からは高円寺に移り住んだ。「高円寺に住みはじめたものの、自分にとってそこが仕事から帰宅して寝るだけの街になってしまうのではないかと思ったんです。そこで、地域と関わる手段としてゴミ拾いを始めました」
同年4月、グリーンバードの高円寺チームを新たに作り、リーダーとして地元の中高生~20代のメンバーと共にごみ拾いを始めた。それは後の谷村さんの活動につながる、まちづくりや若者の地域参画の取り組みでもあった。

▼関連情報
グリーンバード(外部リンク)

グリーンバードの活動について、杉並区立高南中学校で講演する谷村さん(写真提供:谷村一成さん)

グリーンバードの活動について、杉並区立高南中学校で講演する谷村さん(写真提供:谷村一成さん)

「問題を解決することを仕事にしたい」

大学時代は他にもさまざまなことにチャレンジした。学生ライターもその一つで、日本経済新聞などに記事を書き、将来は記者になりたいと思っていたという。「でも、ライターをやってみて、自分が本当は記者志望ではないと気づいたんです。伝えるだけではなく、問題を解決することを仕事にしたいと思うようになりました」
そのために、「変人学部」を発展させて、中高生を対象としたみんなの進路委員会を設立。2022(令和4)年に法人化し、代表を務めている。「“中高生の人生の選択肢を増やす越境体験を”というスローガンの下、海外留学にチャレンジするきっかけ作りや、探究学習・課外活動のサポートに取り組んでいます。年間80校ほどの中学・高等学校で出前授業を行ったり、子供たちが主体的に活動できる居場所作りに携わったりしています」

みんなの進路委員会主催の香川県立丸亀高等学校での出前授業(写真提供:谷村一成さん)

みんなの進路委員会主催の香川県立丸亀高等学校での出前授業(写真提供:谷村一成さん)

仕事をしながら勉強し、行政書士に

大学卒業後は、日本人留学生や外国人学生の日本での就職支援を行う会社に入社。3年間勤務した後、転職し、介護福祉士として2021(令和3)年から2025(令和7)年4月まで東京都八王子市の介護施設で働いた。「認知症と診断されてからも、地域の中で変わらず自分の意思に基づいて暮らしていくにはどうしたらよいか、という問題に取り組みました」
並行して行政書士になるための勉強を始め、2021年に資格取得した。

「自分の住みやすい環境は自分で作る」

2022(令和4)年に谷村一成行政書士事務所を杉並区高円寺南に開設。グリーンバードの活動のつながりから、杉並での活動も増えていった。あさがや能・狂言の会事務局スタッフ、すぎなみフェスタ区民委員、杉並区立高南中学校学校運営協議会委員、座・高円寺地域協議会委員、NPO法人すぎなみ環境ネットワークメンバー、高円寺氷川神社氏子青年会メンバーなど、所属する団体や肩書は数多い。
谷村さんに地域活動への思いについて聞くと、「自分の住みやすい環境は自分で作る。それはとても当たり前なことだと思うんです」という答えが返ってきた。

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すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のイベント・芸能>すぎなみフェスタ
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2025(令和7)年、高円寺氷川神社の例大祭で(写真提供:谷村一成さん)

2025(令和7)年、高円寺氷川神社の例大祭で(写真提供:谷村一成さん)

地元の四国でも全力で活動

谷村さんは生まれ育った四国での活動にも注力している。理事長を務めるNPO法人えひめインターナショナルMeet-upでは、四国地方の外国人住民と日本人住民の相互理解、暮らしやすい地域づくりを目指してワークショップなどを開催。
四国でのもう一つの顔が、マスターズ甲子園(※3)に出場するための香川県高校野球マスターズ連盟の会長だ。「マスターズ甲子園は、2004(平成16)年のスタート以来全国的に盛り上がりをみせていても、香川県は未加盟だったんです。香川大会を運営する団体として2018(平成30)年に立ち上げました」
小学校3年生から野球を始め、香川県立高松高等学校在学中は野球部に所属し甲子園を目指していた元高校球児の谷村さん。大学進学で野球から離れても野球への思いは消えず、今でも草野球を続けている。

▼関連情報(外部リンク)
NPO法人えひめインターナショナルMeet-up(外部リンク)

えひめインターナショナルMeet-up主催「にいはまグローバル食堂」終了後(写真提供:谷村一成さん)

えひめインターナショナルMeet-up主催「にいはまグローバル食堂」終了後(写真提供:谷村一成さん)

第5回マスターズ甲子園香川大会優勝時の香川県立高松商業高校チーム(写真提供:谷村一成さん)

第5回マスターズ甲子園香川大会優勝時の香川県立高松商業高校チーム(写真提供:谷村一成さん)

ばらばらに見える活動が今につながっている

次々と新しい活動に飛び込んでいく一方で、学生時代に始めたライター業も継続しており、ニュースサイト「ほ・とせなNEWS」でインタビュー記事などを執筆。資格取得の勉強も続け、2024(令和6)年には認定ワークショップデザイナーの資格を取得、教育関係の活動などに生かしている。
なぜこんなにも活動が多岐にわたるのかと聞くと、「一見ばらばらでまとまりがないように見えるかもしれませんが、その時に必要だからとやっていくうちに、全てが今につながったという感じです」と屈託がない。「自分が関わった子供たちが大学生や社会人となって活動を支えてくれるようになりつつあり、頼もしく感じています」
問題解決に取り組み、多くの人々と関わり、後進を育て、学び、野球を愛する谷村さん。自分がこれからどのような方向に進んでいくのかは、まだ決めていないという。今後の活動も目が離せない。

▼関連情報
ほ・とせなニュース(外部リンク)

取材を終えて

八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍をしている多忙な谷村さん。高円寺の沖縄料理の店、抱瓶(だちびん)がお気に入りとのこと。取材でも見せてくれた人懐っこい笑顔で楽しく飲んでいる姿が目に浮かんだ。

谷村一成 プロフィール

1994年 香川県高松市生まれ
2018年 中央大学法学部卒業
行政書士、フリーライター、ワークショップデザイナー、介護福祉士
NPO法人みんなの進路委員会理事長、NPO法人えひめインターナショナルMeet-up理事長、グリーンバード高円寺チームリーダー、NPO法人ピースリング・オブ・グアム・ジャパン理事、香川県高校野球マスターズ連盟会長、杉並区立高南中学校学校運営協議会委員、杉並区子どもの権利擁護に関する審議会委員(~2024年)など

※1 NPO法人グリーンバード:街のごみ拾いを主な活動とするボランティアプロジェクト。2003(平成15)年に設立され、全国各地及び海外で活動

※2 認定ワークショップデザイナー:ワークショップの企画・運営を専門に行える資質を持つ、コミュニケーションの場づくりの専門家として、ワークショップデザイナー開発機構が認定する資格

※3 マスターズ甲子園:高校野球OB・OGが出身校別に同窓会チームを結成し、甲子園球場で開催される大会を目指すイベント

DATA

  • 取材:アリスミカスミ、中村和弘(区民ライター講座)、TFF
  • 撮影:日向幸夫(区民ライター講座)
    写真提供:谷村一成さん
    取材日:2025年06月24日
  • 掲載日:2025年09月22日