マックンとのんびり歩く早春の杉並

区民歴16年、マックンは杉並生活満喫中

お笑いコンビ「パックンマックン」のマックンこと吉田眞(まこと)さん。テレビ番組(※1)やイベントの司会などで活躍中だ。今年(2018年)で、杉並区民歴16年 、いつも地元のイベントやレジャーを満喫しているというマックンと、早春の杉並をのんびり散策した。

永福町駅からスタート
待ち合わせ場所は永福町駅。「今日はよろしくお願いします~!この取材のために黄色いリュック、今、買っちゃいました!」と現われたマックンと、好天に感謝しながらお散歩スタート。まずは永福町駅北口商和会を北に進む。
5分ほど歩いていくと、葵(あおい)の紋が付いた門が見えてきた。曹洞宗の寺院「大円寺(だいえんじ)」。1603(慶弔8)年に徳川家康が赤坂に創建し、1908(明治41)年にこの地に移された。山門をくぐると、左側に本堂、右側に墓地。境内の梅が満開で、一同思わず見入ってしまう。山門脇の掲示板によると、江戸時代は薩摩(さつま)藩の菩提寺(ぼだいじ)で、戊辰(ぼしん)戦争で戦い亡くなった薩摩藩士ほか、飯野藩主保科(ほしな)家の墓があるという。「意外な人のお墓が、こんな身近にあって驚いた」と話すマックン。
境内を散策した後、再び散歩開始。大円寺から北に200メートルほど進むと方南通りに出る。それの北に並行する八幡(はちまん)通りは、古い木材屋や駄菓子屋などが並ぶ、昭和の面影を残す商店街。その通り沿いに、背の高い松が立っていた。平安時代、源義家が奥州遠征の折に馬の鞍(くら)をこの枝に掛けた逸話から「鞍掛けの松」と呼ばれている、ちょっとした観光スポットである。「ここ車でよく通るけど、道路にはみ出してて通りにくいなと思ってた松がこれか!」とマックン。

・泉谷山 大円寺:杉並区和泉3-52-18
・鞍掛けの松:杉並区大宮1-2-11

※1 「ものスタ」(テレビ東京)、「うたなび!」(東京MXテレビ他)、「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京)、「パックンマックンのなるほど日本!旅サーチ」(JAL機内放送)など

マックン、永福町駅から元気に散歩スタート!

マックン、永福町駅から元気に散歩スタート!

「大円寺」の山門前。訪れた3月始めは、境内の梅の花が満開だった

「大円寺」の山門前。訪れた3月始めは、境内の梅の花が満開だった

「鞍掛けの松」。高さがアパートの3階くらいまであり、写真に収まらないほど大きい

「鞍掛けの松」。高さがアパートの3階くらいまであり、写真に収まらないほど大きい

製菓会社「アイネット」と郷土博物館をぶらり

「鞍掛けの松」を後に、大宮の静かな住宅街を歩いて行くと、「アイネット」と書かれた看板を発見。杉並で菓子問屋を設立して62年、今では懐かしの駄菓子から人気スイーツまで、幅広く開発・販売している製菓会社だ。今日は事前に、商談用のショールームを見せてもらう予約をしてきた。
ドアを開けると圧巻!部屋いっぱいに、さまざまな種類の菓子が一千点以上、所狭しと並べられていた。「うわ、これ、僕が箱買いしてる大好きなポテトチップス。ここで発売してたんだ」。マックンは意外にもお菓子好きだそうで、アイネットの方の説明に興味深々、耳を傾けていた。「家の近くに、こんなに面白いお菓子会社があったとは新たな発見です」
アイネットの社員に見送られ、「杉並区立郷土博物館」へ向かう。ここはマックン一家の行きつけの場所。毎年12月には、小学生のお子さんと餅つき行事にも参加しているとのこと。博物館の敷地内には、江戸時代中期に建てられたとされる古民家がある。もとは旧篠崎(しのざき)家のすまいだったが、1973(昭和48)年に区に寄贈された。古民家の中は、いろりやかまどなど、昔の農家の生活様式を垣間見ることができ、土日にはいろりに火入れしている。「その火で沸かしたお湯で、お茶を飲めますよ。うちの娘と週末よく遊びに来てお茶を飲んでます。子供はすぐ大きくなるので、一緒に過ごせる時間を大事にしたいからね」と話すマックンは、優しい父親の顔になっていた。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 産業・商業>杉並の企業>株式会社アイネットホールディングス

・杉並区立郷土博物館(本館):杉並区大宮1-20-8

「アイネット」のショールームでサンプルの菓子を見る

「アイネット」のショールームでサンプルの菓子を見る

「郷土博物館」の古民家。いろりの火をおこすときは竹筒を使うそうだ

「郷土博物館」の古民家。いろりの火をおこすときは竹筒を使うそうだ

“東京のへそ”大宮八幡宮へ

郷土博物館を出て、荒玉水道道路を南に進む。「荒玉水道の“荒”は荒川、“玉”は多摩川(玉川)を示しているんですよ」とマックンが教えてくれた。
道路の西側に立派な朱色の鳥居が見えてきた。鳥居をくぐると、木々が茂る広い境内。ここ「大宮八幡宮」は、別名“東京のへそ”と呼ばれている。都内の人口の重心(※2)にあるからだそうだ。各々、賽銭(さいせん)を入れてしばし参拝。そして散歩の小休止に、境内の清涼殿ティーラウンジで、お茶をいただくことにした。名物の「へそ福餅」をほおばりながら、マックンが語る。「大宮八幡宮は、家から近いこともありますが、一番お世話になっている神社ですよ。僕は厄祓い(ばらい)や車祓い、家の棟上げ式もここでしました。厄年に財布を3回落したけど、3回とも戻ってきました。中身も無事で」。なるほど、ご神徳はたしかなようだ。ちなみに芸人さんの間で、見たら幸せになる“小さいおじさん”が大宮八幡宮に現れると話題になっているらしい。妖精のような存在で、おじさんの姿をしているとのこと。この近辺は遺跡や古墳も数多くあり、太古から神聖な場所とされてきただけに、そんなうわさがあるのだろうか。
さて「へそ福餅」でパワーチャージした一同、次なる目的地「つり掘 武蔵野園」へ。

※2 人口の重心:人口の1人1人が同じ重さを持つと仮定して、その地域内の人口が全体として平衡を保つことのできる点

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の寺社>大宮八幡宮
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>スイーツ>大宮八幡宮

「大宮八幡宮」に到着。ご神木が生い茂り、清涼な空気に包まれる

「大宮八幡宮」に到着。ご神木が生い茂り、清涼な空気に包まれる

へそ福餅と緑茶のセット。へそ福餅は餡(あん)が甘すぎず、小休止にぴったりなおやつ

へそ福餅と緑茶のセット。へそ福餅は餡(あん)が甘すぎず、小休止にぴったりなおやつ

マックンが20年通う「つり堀 武蔵野園」

善福寺川を挟み、大宮八幡宮の対岸に広がる都立和田堀公園。「つり掘 武蔵野園」は、この公園の和田堀池のそばに立つ。ラーメンやオムライスが食べられる食堂も併設。釣り好きのマックンが20年近く通っている身近な場所で、店主とも大の仲良しだ。「以前、娘と一緒に店主の子供たちを遊園地に連れて行ったこともあるんです。娘は週末になるとここに遊びに来てます。たまにお昼ご飯をごちそうになったり、本当にお世話になってます」とマックン。釣りのためだけに通っていたのではなく、店主と家族ぐるみの付き合いをしていたと聞いて、なにげない内輪話に、地域との付き合いを大事にしているマックンの温かい人柄を感じた。
「武蔵野園」を出る頃には夕暮れが迫っていた。散歩の締めとして、公園前のバス停から、マックンがひいきにする高円寺の小料理屋へ移動する。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>都立和田堀公園

・つり掘 武蔵野園:杉並区大宮2-22-3

「つり堀 武蔵野園」の前で。店主とマックン、まるで親子のようだ

「つり堀 武蔵野園」の前で。店主とマックン、まるで親子のようだ

知人に紹介された店「室蘭」

割ぽう「室蘭(むろらん)」の引き戸を開けると、「いらっしゃーい」と元気な女将の声。店内は手前にカウンター、奥に小さな座敷。かつお節のだしの良い香りが漂う。「この店は最初、知人に紹介されて来ました。それ以来、何食べてもおいしいから大好きになってしまって、週に2、3回は利用しています。妻の誕生会もここでやりました」。この日は、マックンおすすめの料理を3品いただいた。「中央線沿線で一番高いんじゃない?」というカニクリームコロッケは、値段も納得のおいしさ。カニの味がすごぶる濃厚だ。手打ちそばと山菜の天ぷらも期待を裏切らない品だった。「有名ホテルで十数年修業した大将だから作り出せる安定の味」とマックン。ちなみに、「室蘭」を紹介してくれた知人は一度もここに来たことがなかったらしい。このオチに店内が笑いに包まれた。
マックンののんびり散歩は和やかに終了。「おいしい店はあるし、釣り堀は近いし、子育てにもいい街だし、杉並はいいね!」

・室蘭:杉並区高円寺南4-24-11 宝山ビル109

おすすめ料理の山菜天ぷら、カニクリームコロッケ、自家製の手打ちそば

おすすめ料理の山菜天ぷら、カニクリームコロッケ、自家製の手打ちそば

「ん~!うまいっ」

「ん~!うまいっ」

DATA

  • 最寄駅: 永福町(京王井の頭線)  高円寺(JR中央線/総武線) 
  • 取材:伊藤美穂
  • 撮影:佐藤 睦美
  • 掲載日:2018年03月29日