毎年秋に「人と人、地域と地域をつなぎ、杉並を元気に」がコンセプトの区のイベント「すぎなみフェスタ」が開催され、多くの来場者でにぎわう桃井原っぱ公園。敷地いっぱいに原っぱが広がり、災害時には避難場所の役割を担う、防災機能を備えた公園でもある。
この地には大正から終戦時まで、航空機・エンジンメーカーの中島飛行機の工場があった。戦後は日産自動車(株)が土地を所有していたが、1998(平成10)年の移転に伴い、長年お世話になった地域住人と杉並区に貢献する施設にしてほしいと売却。区は、2002(平成14)年12月より用地の一部を「桃井原っぱ広場」として暫定的に開放した。その後、公園整備のための懇談会が開かれ、地域の声を受けながら、「新しい緑と地域の絆を育み、暮らしの安全・安心を守るみんなの原っぱ公園」という基本方針が決まる。工場の敷地にあった大きな木々も、いくつかそのまま残された。
2011(平成23)年4月1日、東日本大震災の影響が残るなか、杉並区の防災力の核になる公園が誕生した。オープニングに併せて被災地の南相馬市を支援するチャリティバザーも開かれ、たくさんの人々が励ましに訪れた。以来、桃井原っぱ公園は憩いの場、集いの場として広く利用されている。
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ドーンとひろがる広大な原っぱ。何もない草原と高い空を前にして、走りだしたい衝動にかられるかもしれない。圧倒的な開放感に浸れるのが、この公園の醍醐味だ。もちろん走っても良し、凧揚げを楽しむも良し。近隣の園児が元気に遊ぶ姿や、早朝からラジオ体操に励む年配者の姿も見られる。
原っぱを取り巻く500メートルの園路は、50メートルごとに地面に白い文字で距離が書かれており、ジョギングやウォーキングに便利。愛犬との散歩コースにもおすすめだ。なお、南側の園路沿いにはせせらぎがあり、小さな子供たちの格好の水遊び場になっている。運動や遊びをたっぷり楽しんだあとは、自販機とテーブルのある屋内の休憩所で一休みすることも可能だ。
防災機能を備えた公園なので、災害備蓄倉庫や非常用防災トイレなどが設置されているほか、園の周囲には火災や水害に強い木々が植えられている。また、公園北側には梅の木などが植わる「四季の広場」があり、季節ごとに咲く花々が目を楽しませてくれる。春夏には原っぱも生き生きとした緑に包まれ、そのすがすがしい光景に気分もリフレッシュするだろう。