
かわいらしいアイシングクッキーが並ぶ、クリスマスシーズンの店内(写真提供: M's Cookies)(※価格は変更となる場合があります)
東京都立豊多摩高等学校の近くの住宅地に「M's Cookies」がある。一見すると見過ごしてしまいそうな店構えだが、店内には色とりどりのクッキーが並んでいる。かわいらしいものばかりで、どれを選ぶか迷ってしまうほどだ。
「M's Cookies」は、アイシングクッキー専門店として2021(令和3)年11月にオープンした。店主は小手川美雪さん。店名の「M's」は、名前のイニシャルから名付けたという。「子どもがまだ小さい頃、ハロウィンのために焼いたクッキーをママ友たちが喜んでくれたのがうれしくて、本格的に作り始めたんです」
アイシングクッキーは、土台となるクッキーに食用色素で色付けした砂糖を重ねて絵柄を描く。一色ずつ塗っては乾燥させ、さらに別の色を重ねるため、完成までには時間と手間がかかる。そのため、販売は金曜日と土曜日のみ、11時から16時となっている。
「上に砂糖を塗るので、土台のクッキーは極限まで砂糖を減らしました」。試行錯誤を重ね、小手川さんが作り上げたのは甘すぎないクッキー。食べてみると、たしかに口の中に甘さが残らない。
クッキーの型は、動物や花のモチーフなど1,000種類以上。店には、定番や季節に合ったクッキーを約50種類並べている。「クリスマスシーズンは、朝から晩まで作っています」
オーダーメイドにも対応しており、結婚式の引き出物に100個以上を作ることもある。誕生日や母の日、幼稚園の卒園式などに、名前を入れたクッキーを注文する人もいる。同じ型を使い、同じ色で仕上げても、手作りなので一つ一つ表情が異なる。「目の位置がちょっと違うだけで、印象が変わるんですよ」
アイシングクッキーのほか、スコーンやパウンドケーキ、ホールケーキも作っている。「ケーキは2~3種類作ります。ホール1台で8ピース提供のため、すぐに売り切れます」
住宅地にあるため、営業に一定の制約があり、ネット販売は行っていない。購入できる人が限られてしまうことが、小手川さんにとって悩みの一つだ。「でも、口コミで足を運んでくださる方や、もらったクッキーを見て、探して買いに来てくださる方もいらっしゃいます」。散歩途中に「こんなところがあったんですね」と、ふらっと立ち寄る人も多いという。
暑い時期は客足が遠のき、フードロスを避けるため、7月から9月までは休業している。その代わり、夏休みにはアイシングクッキー作りを体験できるワークショップを企画している。自分だけのクッキーが完成すると、子どもも大人も大喜びだ。「今後は、子ども食堂でアイシングクッキーに興味がある子たちがいたら、一緒に作りたいなって思います」
小手川さんが、この場所で店を続けていることには理由がある。「母が生前、“あなたのクッキーは世界一かわいい。この家をお店にしたら?”と言ってくれたんです」
その言葉は、今もずっと小手川さんの背中を押し続けている。「5年続けられたらと思って始めましたが、あっという間に5年経ってしまって」。公式Instagramのアカウント名「ms.cookies_2021.11」には、開店した年月を入れている。「初心を忘れないようにするため」だそうだ。「喜んでくださるお客様のお顔が見られるのがうれしい。"おいしい"って言っていただけると、また頑張ろうって思います。これからも安心で安全なクッキーを作っていきたいです」
店は、東京都立善福寺川緑地からも近い。緑地を散歩する際に、立ち寄ってみてはいかがだろうか?きっとお気に入りのクッキーに出合えるはずだ。