
広々とした店内で、料理とワインをゆっくり味わえる(写真提供:ビストロTOKIORI)
荻窪駅西口から徒歩約2分。ビストロTOKIORI(トキオリ)は、和食の技法を生かした創作料理が楽しめるビストロだ。店名には「人との時間(とき)を織り(おり)重ねる」という思いが込められている。料理を味わうだけでなく、この店で過ごした時間そのものを良い思い出として持ち帰ってほしいという願いから名付けられた。
店を立ち上げたのは、大学の同級生だった神さんと小林さん。「いつか一緒に仕事をしたい」という思いを温めながら、それぞれの経験を積み重ねてきた。店名の由来そのままに、人とのつながりや時間を大切にする一軒である。
神さんは西荻窪で生まれ、小林さんは吉祥寺で和食料理人として経験を積んだ。中央線沿線になじみのあった二人にとって、荻窪は自然な出店候補だった。
二人は「荻窪には個性ある店を受け入れる風土がある」と感じていた。流行を追うのではなく、それぞれの店が自分らしい店づくりを続けられる街。そんな荻窪で「地域とのつながりを大切にしながら店を育てていきたい」と思い、2025(令和7)年11月、この場所に店を開いた。実際に営業を始めると、地元を中心に少しずつ常連客が増え、口コミで評判が広がっていったという。
TOKIORIの料理は、随所に和食で培った技法が生かされている。しかし、和の要素を取り入れること自体が目的ではない。「和ビストロではなく、おいしいビストロと言われたい」という言葉に、その姿勢が表れている。小林さんは和食で培った経験や発想を土台に、素材本来のおいしさを引き出すことを大切にしている。
例えば「昆布の香りをまとった鮮魚のカルパッチョ」は、鮮魚を昆布で締めてうま味を引き出した一皿だ。西京味噌を使った肉料理や、そば粉を使ったニョッキにも和の発想が生かされている。
ランチは「12彩プレートランチ」と「9彩プレートランチ」の2種類。いずれもご飯とみそ汁が付き、季節の食材を使った料理を少しずつ楽しめる。主菜は週替わりで、和洋の前菜や季節野菜のおかずなどが並び、TOKIORIならではの多彩な味わいを一皿で味わえる。
店内にはカウンター席があり、一人でも気軽に利用しやすい。客の声をきっかけに始めた「カウンター限定おひとり様セット」は、前菜盛り合わせ、本日の一品、パスタ、ドリンクを組み合わせた夜の人気メニューだ。一人で訪れても、料理とワインをゆっくり楽しめるよう工夫されている。
一方で、テーブル席を利用した会食や貸し切りにも対応している。訪れるのは若いカップルだけではない。家族連れやシニア世代、一人でワインと料理を楽しむ人など、客層は幅広い。一人で過ごす時間も、仲間と囲む時間も大切にしたい。そんな思いが、幅広い利用シーンにつながっている。