キッチン上部の棚にはさまざまなハーブが並び、自然の色合いに癒やされる
久我山駅南口から徒歩約1分、岩通通り沿いにハーブティー専門カフェ&ショップのカフェ オルタナがある。2023(令和5)年4月18日オープン。店内は、ベンチシート式テーブルが5席、窓際には4人掛けのソファ席があり、ガラス越しの光が差し込み、明るく、白とこげ茶を基調にしたシンプルな作りだ。
「ハーブを通して、人が健康になる手助けをするラボのような雰囲気にしたかった」と店主の髙嶋さん。内装も全て自分で考え、客がゆったり過ごせて悩みを相談しやすい空間に作り上げた。
店名の「オルタナ」は、「選択肢」を意味する alternative(オルタナティブ)から取ったものだ。 たくさんの選択肢の中から自分に合うものを選んでいこう、との思いが込められている。
髙嶋さんは大学生の頃、吉祥寺にある雑貨店でのアルバイト経験から、いつか自分一人でできる小さな店を持ちたいと思っていたという。卒業後は、文具雑貨メーカーに就職。その後、紅茶・日本茶の茶葉専門店に転職し、販売に携わった。
2020(令和2)年ごろ、体調の変化をきっかけにハーブティーを飲み始めたら、調子がよくなっていくのを実感したことで、「ハーブティーのカフェをやりたい!」と決意。ハーブについて専門的に学び、植物療法士(※)の資格を取得した。
「杉並は駅ごとに個性があり、活気のあるエリアだと感じたので、カフェをやるなら杉並で」と思っていた髙嶋さんは、縁があって久我山に店をオープンすることになった。「一人でやるには店の広さもぴったり。立地も一目ぼれでした。人が行き交うにぎやかな商店街の昔ながらの雰囲気がとても気に入っていますね」と話す。
ハーブティーは、約50種類のハーブの中から、心や体の悩み別に配合した17種類(取材時)のブレンドを用意。髙嶋さんが、試飲を重ねておいしいと思う味にたどり着いたものだ。それぞれ、ホットとアイスを選べる。ハーブティーが初めての人には、気持ちが明るくなるポジティブブレンド「私のお守り茶」がおすすめだ。ローズ、カモミールが入り、やわらかな甘みがあって飲みやすい。通年の人気ブレンドは、「ヴォカリーズ」(眼精疲労)と「ノクターン」(安眠)。
デザートのメインは、髙嶋さんがこだわり抜いた5種類のハーブパフェだ。宝石のようなハーブジュレ、バニラアイス、カモミールのミルクプリンなどが重なり、さまざまな食感が楽しめる。ハーブティー、デザート、ドリンクは季節限定メニューも登場するので、ぜひチェックしてみてほしい。
店では、久我山で活動している人たちと協力して、不定期でイベントも企画している。杉並区立久我山会館でヨガを教えている先生とコラボした「ハーブティー瞑想会」をはじめ、2025(令和7)年4月には、創作和食店の店主と「2周年記念アフタヌーンティーパーティー」を開催した。イベントは、店内のチラシや公式インスタグラムで告知している。
髙嶋さんは、「より一層、お客さまに寄り添った関係を作り、悩みに合わせたオリジナルのオーダーを受け付けられるようになりたい。ハーブティーを飲んですっきり帰っていく人が増えるような、"街の診療所”になりたいですね」と語る。街の人たちが健康になるようにと願う髙嶋さんの活動は、これからも広がっていく。
※植物療法士:植物を活用して心と体の健康を促進するための専門家。一般社団法人日本フィトセラピー協会などが認定