旅する喫茶

常時数種類、色とりどりのクリームソーダが楽しめる

常時数種類、色とりどりのクリームソーダが楽しめる

趣味で始めたプロジェクトが実店舗に

高円寺駅から徒歩約2分、高円寺パル商店街の脇の道沿いに旅する喫茶がある。この一風変わった店名は、店主の玉置さんとtsunekawaさんが2019(平成31)年4月から行っている「日本各地を巡り、その土地の食材を使ってクリームソーダとカレーを提供する、その日その時限りの喫茶店」というプロジェクトの名称でもある。SNSで出張営業の告知をするとあっという間に予約で埋まってしまうという状況の中、満を持して2021(令和3)年3月にクラウドファンディングで支援を受け、実店舗をオープンした。

旅する喫茶の代名詞ともいえる「青空のクリームソーダ」

旅する喫茶の代名詞ともいえる「青空のクリームソーダ」

「旅する喫茶のチキンカレー」。トマトの酸味とココナツミルクがマッチ(写真提供:旅する喫茶)

「旅する喫茶のチキンカレー」。トマトの酸味とココナツミルクがマッチ(写真提供:旅する喫茶)

拠点となる店を高円寺に構えたのはたまたまだった。玉置さんは「自分は雑多な高円寺という街が好き。個人店が強く、横のつながりや身内感があって、殺伐としていないし気取っていない。ただ、この店にとってはそんな高円寺らしさというものは特に意味を持たなくて。SNSがあってこその自分たちだから」と語る。
店内に一歩足を踏み入れると別世界が広がっている。落ち着いた内装でノスタルジックな雰囲気。カウンター席からはスタッフの活気のある様子がうかがえる。月に数回、夜24時まで営業する日があり、昼とは異なる趣の空間でカクテルなども楽しめる。
元々旅が好きだった2人が始めた出張型喫茶店は、各地の産直市場や生産者と交流しながら使用する食材を決めていくスタイル。実店舗では定番メニューのほか、そうして開発されたメニューも季節限定で提供している。

まるで秘密基地への入り口のよう

まるで秘密基地への入り口のよう

テーブル席は隣り合う席がなく半個室のような空間

テーブル席は隣り合う席がなく半個室のような空間

写真に残したくなる特別なメニュー

定番のクリームソーダは、透き通った空気と晴れ渡る爽やかな空を表現した「青空のクリームソーダ」(900円)。ラムネベースにレモンを加え、すっきりと仕上げている。他にも、夕暮れ時のようなグラデーションが美しい、いちご味の「茜空のクリームソーダ」(900円)や緑色が鮮やかな「懐かしのクリームソーダ」(750円)、期間限定のクリームソーダなどが用意されている。
代表メニューのスパイスカレー「旅する喫茶のチキンカレー」(1,050円)は、カルダモンなど約15種類のスパイスを使用し、チキンがほろほろになるまで煮込まれている。店主不在時はカレーに代わり「お留守番ハヤシライス」(1,100円)がメニューに加わるのが面白い。

3月限定の「春を待つクリームソーダ」(1,000円)。淡いピンクの桜のシロップで、やさしい甘さ

3月限定の「春を待つクリームソーダ」(1,000円)。淡いピンクの桜のシロップで、やさしい甘さ

「お留守番ハヤシライス」。じっくり煮込まれたデミグラスソースが濃厚

「お留守番ハヤシライス」。じっくり煮込まれたデミグラスソースが濃厚

「誰かの旅のきっかけになればうれしい」

実店舗オープン前からプロジェクトの発信を通じてファンを獲得していたこともあり、ふらりと立ち寄る人だけでなく、SNSの情報を見て訪ねてくる人も多いという。土日祝日は整理券を配布するほどの人気だ。「ビジュアル目的の来店でもなんでもいい。それが誰かの旅のきっかけになればうれしい」と玉置さん。
より多くの人に旅の魅力を感じてもらいたいと願う自分たちの活動を広めるために、オリジナルグッズも製作。クリームソーダをモチーフにした雑貨や、レトルトカレーの販売、レシピ本の出版などに精力的に取り組んでいる。

レトルトカレーの製作もクラウドファンディングで実現

レトルトカレーの製作もクラウドファンディングで実現

DATA

  • 住所:杉並区高円寺南4-25-13 第二保谷ビル2F
  • 最寄駅: 高円寺(JR中央線/総武線) 
  • 営業時間:12:00-20:00
  • 休業:月曜
  • 補足:夜喫茶営業日(不定期):12:00-24:00
  • 公式ホームページ(外部リンク):https://tabisurukissa.com/
  • 取材:宮本早苗
  • 撮影:宮本早苗、ヤマザキサエ
    写真提供:旅する喫茶
    取材日:2022年10月26日、2023年03月14日
  • 掲載日:2023年03月27日