ぶらり、すぎ丸けやき路線の旅

南北バスすぎ丸。乗務員含め36人乗りで、けやき路線の一日の平均利用者数は1,790人

南北バスすぎ丸。乗務員含め36人乗りで、けやき路線の一日の平均利用者数は1,790人

阿佐ケ谷駅から南北バスすぎ丸でお出掛け

「なみすけだよ~。テレビで人気のバスの旅みたいに、今日はすぎ丸に乗ってお出掛けするよ~」
南北バスすぎ丸は、空豆がモチーフのキャラクター「すぎ丸」が車体に描かれたコミュニティバス。今回なみすけが乗るのは、JR中央線阿佐ケ谷駅~京王井の頭線浜田山駅を結ぶけやき路線(※1)で、2000(平成12)年11月の運行開始以来、区民の通勤・通学・買い物などに利用されている。
「すぎ丸は、バスごとに描かれているキャラクターの色が違うって知ってる?ぼくが乗るのは何色かな?」
阿佐ケ谷駅停留所で待っていると、ピンク色のキャラクターのバスが到着した。乗客が降りた後、運転手が車内を点検する。
「運転手さん、いつもありがとう。よーし、浜田山に向かって出発~!」

高齢者や車椅子利用者にも優しいノンステップバスの車両

高齢者や車椅子利用者にも優しいノンステップバスの車両

運転手の業務は、運転、車内点検、接客対応、車内アナウンスなどいろいろ。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、車内の消毒も行っている

運転手の業務は、運転、車内点検、接客対応、車内アナウンスなどいろいろ。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、車内の消毒も行っている

コミュかるショップで「すぎ丸」グッズをゲット!

阿佐ケ谷駅を出発したすぎ丸は、中杉通りを南に進む。
「ケヤキがいっぱいの道、気持ちいいな~。あっ、区役所が見えてきた。そうだ、ここで“すぎ丸のひみつ”を教えてもらおう」
杉並区役所前停留所で下車して、西棟5階にある都市整備部管理課へ。交通企画担当が質問に答えてくれた。
「すぎ丸は、区内の南北方向の交通を改善するために誕生しました。車両の数は、けやき、さくら、かえで路線を合わせ10台で、そのうち広告の入ったラッピングバスが5台あります。名前は、はがきやホームページなどで公募し、南北バス交通名称選考委員会が決定しました」
「ぼく、けやき路線の旅をしてるんだけど、見どころも教えて~」
「途中の善福寺川沿いは緑が多く、春は桜の名所ですよ」
お礼を言って別れたあと、なみすけは区役所1階のコミュかるショップに向かった。交流自治体の物産品や区の関連商品を販売しており、「すぎ丸」のキャラクターグッズもそろっている。
「マグカップや文房具、いろんな色が選べるよ~」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のキャラクター>すぎ丸

ビルが立ち並び、にぎやかな中杉通り

ビルが立ち並び、にぎやかな中杉通り

都市整備部管理課で「すぎ丸」のマスコットを発見

都市整備部管理課で「すぎ丸」のマスコットを発見

コミュかるショップで販売しているすぎ丸グッズ

コミュかるショップで販売しているすぎ丸グッズ

善福寺川緑地からてくてく散歩

再びバスに乗車したなみすけ。区役所を出発すると、車内放送で下高井戸子供園の園児が歌う「♪大好きすぎ丸♪」の歌が流れた。
♪ケヤキのみちをはしる げんきなバス すてきなバス~
そして、青梅街道を通り、杉並税務署を過ぎる頃、車窓から見える景色に緑が増えてきた。
「おすすめされた善福寺川の近くで降りてみよう」
川沿いは、豊かな自然が広がる「都立善福寺川緑地」。なみすけは、ここからすぎ丸のルートに添って散歩することにした。3分ほど歩くと尾﨑熊野神社に到着。境内には樹齢400年を超える立派なクロマツがそびえている。
「大きいなぁ~。風に吹かれるとサヤサヤって音がするよ」
神社のすぐ側には、「教科書・文具・たばこ」という看板を掲げたレトロな雰囲気の店があった。おやつを買いに立ち寄ると、店番の女性が「昭和50年頃には、向かいの杉並第二小学校に児童が1,200人くらいいて(現在の約2倍)、子供たちがたくさん押しかけたものですよ」とニッコリ。
その杉二小の近くに、三年坂の文化財案内標示板が立っていた。「この坂で転んだものは、3年きり生きられないとか、3年たつと死ぬとか言われた伝承がありました」との説明がある。
「ゆるやかな坂だけど、転んで死んじゃったら大変!気を付けないと」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>都立善福寺川緑地
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の寺社>尾﨑熊野神社
杉並区公式ホームページ>三年坂(外部リンク)

車窓はビル街から一転し、緑あふれる風景に

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1924(大正13)年創業の「安盛堂」。子供のこづかいで買える駄菓子や文具類などを売っている

1924(大正13)年創業の「安盛堂」。子供のこづかいで買える駄菓子や文具類などを売っている

三年坂で転んでしまったなみすけ。坂道に用心するように付けられた名前で、本当に3年で死ぬことはないから大丈夫

三年坂で転んでしまったなみすけ。坂道に用心するように付けられた名前で、本当に3年で死ぬことはないから大丈夫

区立杉並児童交通公園でゴーカートに挑戦

杉並第二小学校停留所からバスの旅を再開。すぎ丸は住宅地の狭い道を安全運転で進んで行く。
「対向車とギリギリですれ違うよ。運転手さんの腕前、すごいなぁ~。それにとっても親切♪」
出発や急停車時などに「お気を付けください」と声を掛けてくれる運転手。道が混んでいてバスが遅れても、慌てず、客が座るか手すりなどに捕まるのを待って発進する。また、車内では乗客同士の席の譲り合いもみられ、すぎ丸には優しさが満ちているようだ。
さて、なみすけの次なる降車地は児童交通公園入口停留所。自転車や足踏み式のゴーカートで走れるコースがあり、遊びながら交通ルールを学べる、子供たちに人気のスポットだ。蒸気機関車D51-254も展示されており、運転席で運転士気分も味わえる。
「すぎ丸に乗って、交通公園で遊んで、乗り物いっぱいのお出掛け楽しいな~」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>区立杉並児童交通公園

住宅地では、バス路線としてはかなり幅の狭い道路も走る

住宅地では、バス路線としてはかなり幅の狭い道路も走る

交通公園のゴーカートのコースには、信号機や標識、横断歩道などがあり、本物の公道のよう

交通公園のゴーカートのコースには、信号機や標識、横断歩道などがあり、本物の公道のよう

浜田山で、ほっと一息

児童交通公園入口停留所からこの旅最後のすぎ丸に乗り、約6分で終点の浜田山駅に到着した。
「阿佐谷は大きなビルがいっぱいだけど、ここは落ち着いた感じの町。同じ杉並でも雰囲気が違うね~」
駅前には、花屋や本屋などに並び久遠チョコレート浜田山店がある(※2)。社会福祉法人いたるセンターの障害を持つスタッフが製造に携わっているチョコレート専門店だ。なみすけは、棒アイスにその場でチョコレートをコーティングしてもらえる「至高のアイス」をペロリ。
「おいしいアイスも食べられて、すぎ丸けやき路線の旅、おもしろかったよ~!今度は他の路線にも乗ってみたいな」

▼関連情報
けやき路線 路線図(外部リンク)
けやき路線 時刻表(外部リンク)

※1 すぎ丸は、けやき路線以外に、さくら路線(浜田山駅南~京王線下高井戸駅入口)と、かえで路線(JR中央線西荻窪駅~京王井の頭線久我山駅)がある
※2 久遠チョコレート浜田山店は2021(令和3)年3月に閉店

阿佐ケ谷駅~浜田山駅の乗車時間は約30分。運賃は100円で気軽に乗りやすい

阿佐ケ谷駅~浜田山駅の乗車時間は約30分。運賃は100円で気軽に乗りやすい

好みのアイスとチョコレートを組み合わせられる「至高のアイス」。久遠チョコレートのおすすめメニュー

好みのアイスとチョコレートを組み合わせられる「至高のアイス」。久遠チョコレートのおすすめメニュー

DATA

  • 取材:西永福丸
  • 撮影:西永福丸
    取材日:2020年7月2日
  • 掲載日:2020年08月17日
  • 情報更新日:2021年04月23日