大田黒公園記念館(旧大田黒元雄邸)

紅葉シーズンのライトアップ

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日本庭園の片隅にたたずむレンガ色の洋館

区立大田黒公園は、音楽評論家の大田黒元雄氏の屋敷跡を杉並区が日本庭園として整備し、1981(昭和56)年に開園した。その片隅にたたずむレンガ色の建物は、1933(昭和8)年に大田黒氏が仕事部屋として建てたもので、そのまま記念館となって残っている。欧米の建築様式を取り入れた洋館だが、屋根材には日本瓦が使われており、昭和初期に多く見られる和洋折衷のスタイル。
仕事部屋だった広い室内に足を踏み入れると、床は寄木張り(※1)で、壁は色箔を貼り合わせたような壁紙が鈍く光り、独特な雰囲気を醸し出している。大田黒氏が愛用していたドイツ製のピアノが大切に保存され、生前にレコードや楽譜、リサイタルのプログラムが飾られていた棚には、今は大田黒氏の写真やゆかりの品が展示されている。
調度品や家具、蓄音機なども当時の品で、実に手の込んだ仕様に驚かされる。とくに、優美な模様のガラスがはめ込まれた窓や、木彫り細工の装飾が施されたテーブルセットが見どころ。木立の中にあるせいか、山の別荘の一室にいるような気分になる。
2001(平成13)年には耐震改修工事が行われた。床の寄木張りは使われている材料をできるだけ再利用し、耐力壁を設置した壁紙の張り替えも当時のものに合わせて復原された。
記念館は開園時間内に無料で見学が可能。この他、管理棟の横に戦前の蔵も保存されている。また、公園内には開園時に建てた数寄屋造り(※2)の茶室があり、杉並区公共施設予約システム「さざんかねっと」(関連情報参照)から利用申し込みができる。
2016(平成28)年11月に、記念館と蔵が国の登録有形文化財になった。

※1 寄木張り(よせぎばり):色や木目の異なる木片を組み合わせて張ったもの
※2 数寄屋造り(すきやづくり):茶室風の様式を取り入れた建築

▼関連情報
さざんかねっと(外部リンク)
すぎなみ学倶楽部 記録に残したい歴史>100年の音色を刻む 大田黒公園ピアノ物語
すぎなみ学倶楽部 特集>公園に行こう>区立大田黒公園

DATA

  • 住所:杉並区荻窪3-33-12
  • 電話:03-3398-5814
  • 最寄駅: 荻窪(東京メトロ丸ノ内線)  荻窪(JR中央線/総武線) 
  • 営業時間:9:00-17:00
  • 休業:水曜、12/29-1/1
  • 補足:入園は16:30まで
  • 公式ホームページ(外部リンク):http://www.hakone-ueki.com/sub/
  • 取材:石渡玲子
  • 撮影:嘉屋本暁
  • 掲載日:2016年05月09日
  • 情報更新日:2024年04月03日

木立の中の大田黒公園記念館。2階の外開きの日除け付き窓は南欧風

木立の中の大田黒公園記念館。2階の外開きの日除け付き窓は南欧風

1900年スタインウェイ社製のピアノが置かれた室内

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菊や龍の木彫が施されたテーブルセット。壁には色箔のような壁紙が貼られている

菊や龍の木彫が施されたテーブルセット。壁には色箔のような壁紙が貼られている

写真左:窓には表面に模様の入ったガラスがはめ込まれている<br>写真右:庭から戦前の蔵も見られる

写真左:窓には表面に模様の入ったガラスがはめ込まれている
写真右:庭から戦前の蔵も見られる

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