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地球の歩き方 杉並区

編:地球の歩き方編集室(Gakken)

世界中の都市を紹介してきたガイドブック『地球の歩き方』。近年は国内各地のガイド制作を進めており、杉並区にもスポットが当たった。2025(令和7)年8月に出版された『地球の歩き方 杉並区』は、ユニークな街が集まる杉並の魅力を深く掘り下げた一冊だ。
独特なタッチの表紙イラストには阿佐谷七夕まつりを採用。「第2章 エリアガイド」では、高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪・西荻窪・西武新宿線・京王井の頭線エリアに分け、グルメや寺社、雑貨店などの注目スポットを余すことなく取り上げる。また区内で開催される祭りやイベント、区の主要産業ともいえるアニメーション、地元の人々とつながれる多世代コミュニティスペースなど、エリアを横断した見どころも特集されている。

編集室インタビュー

杉並出身で制作を熱望したスタッフが多数おり、地元に精通したチーム態勢が整ったことが制作のきっかけでした。杉並区は個性豊かな街が集まり、歴史や文化を大切にする人々が暮らしています。銭湯文化が息づき、多国籍グルメが楽しめるのも杉並らしさ。本書では、アニメ発祥の地としての魅力や文豪ゆかりの地、商店街や公園、祭りやイベントまで「杉並愛」を凝縮。さらに区民アンケートを反映し、地元の人が共感できる情報をたっぷり収録しました。
取材して感じたのは「多様だけれど不思議と一体感がある」ということ。西荻窪は「中央線のパリ」、高円寺は「中央線のインド」など、街ごとに強烈な個性がありますが、住民同士には杉並らしさを共有する感覚があって面白い。地元の人が自分の街を誇りに思っていることも印象的です。歴史や文化を大事にしつつ、新しいカルチャーも柔軟に受け入れる……その懐の深さこそが、杉並区の一番の魅力だと思います。

区内在住のイラストレーター・杉浦さやかさんによる絵地図マップ

区内在住のイラストレーター・杉浦さやかさんによる絵地図マップ

おすすめポイント

巻頭特集「中央線沿線カレー聖地巡礼」では区独自のカレー文化に迫る。編集室は「中央線沿線に住む学生たちを満足させてきた庶民的なカレーと、ネパールのインターナショナルスクール開校の影響で増えた国際色豊かなスパイス文化が融合しています」と紹介する。ラーメンも特集として取り上げられ、区を代表する10店をフィーチャー。「第4章 グルメ」ではアジアンや焼き鳥、フレンチなど各エリアで楽しめるさまざまなジャンルのグルメが登場する。
「杉並の銭湯でととのう」も杉並らしさが感じられる特集だ。「川沿いに井戸を掘りやすい地形や、震災後の人口増で風呂なしアパートが増えたことが背景にあり、地域コミュニティを支える場として親しまれています」と編集室はいう。このほか、ロケ地や開運スポット巡りなど、テーマに沿ったモデルプランも掲載され、試してみたくなる。

カレー特集では中央線沿線の14店を紹介

カレー特集では中央線沿線の14店を紹介

読者から寄せられた投稿も読み応えがある。「杉並区のこんなところがスキ♥」特集では、投稿をランキング形式で紹介。投稿者の愛にあふれたコメントは見逃せない。欄外にも「高円寺は豚骨ラーメン激戦地」「西荻窪駅南口の飲み屋街はわざわざ行く価値あり!」といった耳寄りな情報が満載だ。コラム「すぎなみクチコミ大調査」に目を向けると、「「阿佐ヶ谷」と言うと「阿佐ヶ谷姉妹が住んでる街!」と言われます」といった、区民なら思わずうなずくものも。
ページをめくると自分が住むエリアの紹介に自然と目が行き、知っている店や通い慣れた公園などが見つけられて、うれしくなるだろう。一方で、知らない店などであれば「行ってみたい。見てみたい」と思わせる写真や情報が豊富に掲載されている。杉並の新たな一面を見つけられるガイドブックだ。

杉並区の好きな点の投稿は共感できるものばかり

杉並区の好きな点の投稿は共感できるものばかり

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