国広哲弥さん

「伝われ!広がれ!卓球の輪」

荻窪駅から徒歩約2分、青梅街道に面した文化ビル地下1階に卓球教室「クニヒロ卓球」がある。代表の国広哲弥(くにひろ てつや)さんは、水谷隼選手のベンチコーチをはじめ、多くの選手や卓球愛好家を指導してきた。2020(令和2)年からは杉並区卓球連盟会長を引き受けている。
2000(平成12)年に「全関東社会人卓球選手権大会ダブルス一般」準優勝、2007(平成19)年に「全日本卓球選手権大会(マスターズの部)30代」第3位など、戦績も華々しい。「上にはもっと上がいる」と謙遜しつつ、「全国3位という結果だけを見れば、周りの人たちはすごいねって褒めてくれるけれど、優勝できなければ悔しい思いだった」と当時を振り返る。そんな選手として培った体験や苦労を生かしながら、実践的な指導を心掛けている国広さんに、卓球に懸ける思いを伺った。

国広哲弥さん(写真提供:クニヒロ卓球)

国広哲弥さん(写真提供:クニヒロ卓球)

「優勝できなければ悔しくて」少年時代の思い出

卓球を始めたのは小学校4年生のとき。その頃はサッカーもしていたが、中学生になり部活動を一つに決めなければならなくなった時点で卓球を選んだ。親の勧めで始めた卓球だったが、続けているうちに個人スポーツの魅力にどんどん夢中になっていったという。
部活動に加えて地域のクラブチームに所属し、週5回ほどのハードスケジュールをこなしていたが「授業が終わり学校から帰宅すると、すぐに自宅近くの卓球場に行くのが楽しみでたまらなかった」と振り返る。試合に負けると悔しさでいっぱいになり、一人黙々と練習に打ち込んだ。「当時から負けた経験が原動力となっていました」

東京卓球選手権大会にて(写真提供:クニヒロ卓球)

東京卓球選手権大会にて(写真提供:クニヒロ卓球)

「杉並に卓球場を作ろう」と思い立つ

大学時代は、アルバイトで主婦やジュニアなど卓球愛好家向けに地域のクラブで卓球教室のコーチをしていた。卒業後は就職し2年ほど卓球から離れていたが、いつも考えるのは卓球のことばかり。ついには会社を辞め、選手として大会に出場しながら下井草の卓球場でフリーランスで教え始めた。「以前に教えていた生徒たちに声を掛けたところ、次第に人が集まってきてくれました」。だが、その卓球場が閉店。「杉並に卓球場がなくなってしまう」と思った国広さんは、2001(平成13)年、コーチ業をしていた先輩と共に、上井草に卓球台が3台置ける小さな卓球場をつくった。それがクニヒロ卓球の前身である。
3年後、一人で運営することになったタイミングで「クニヒロ卓球」に改称。国広さんの熱意あふれる指導が人気を呼び、生徒も100名を超えた。そこで、2009(平成21)年に卓球台が6台置ける広さの荻窪の物件に移転し、現在に至る。

「クニヒロ卓球」はアットホームな指導が特徴

「クニヒロ卓球」はアットホームな指導が特徴

クニヒロ卓球の魅力

卓球場がある文化ビルの階段を下りると、元気な掛け声が響き、エネルギッシュな雰囲気を感じた。教室内に入ると目に飛び込んできたのは、それぞれのスタイルで卓球を楽しむ生徒たちの姿だった。
レッスンの目的は、上達を目指す以外に、ダイエットやストレス解消、健康維持とさまざま。マンツーマンの個人レッスンや少人数のグループ指導が中心なので、レベルに合った丁寧な指導が受けられると好評だ。
「卓球は爽快感がありストレス発散にも役立ちます。小さいボールを追いかけることで、集中力もアップしますよ」と国広さん。「私にもできるでしょうか?」と聞いたところ、「ぜひ。初心者にも丁寧に指導いたします」と言ってくれた。

青梅街道に面したビルの地下1階。青い看板が目印

青梅街道に面したビルの地下1階。青い看板が目印

卓球用品やスポーツウエアのショップが併設されている。ショップだけの利用も可能

卓球用品やスポーツウエアのショップが併設されている。ショップだけの利用も可能

「杉並の卓球を盛んにしていきたい」

国広さんは、卓球の普及に尽力した荻村伊智朗(おぎむら いちろう)さんの指導法に影響を受けたという。荻村さんは世界選手権などで活躍した選手でもあり、国内外で世界チャンピオンを育てた名コーチでもある。直接の面識はなかったが、長男の一晃さんとは10年ほど一緒に試合に出たり、クニヒロ卓球に遊びに来てもらったりと交流があった。「一晃さんから“世界のオギムラ”と呼ばれる伊智朗さんの指導方法を教わったのですが、卓球をするときの体の使い方やフットワークなどの技術面だけでなく、精神論にまで及びました。その感動が現在の指導の糧になっています」
2006(平成18)年ごろからは、阿佐谷南にある卓球メーカー「株式会社タマス」の運営するバタフライ卓球道場の教室の講師も務めている。また、公益財団法人杉並区スポーツ振興財団からの依頼で、荻窪体育館や高円寺体育館で卓球教室を開催しているほか、杉並区教育委員会事務局学校支援課からの依頼で区内のいくつかの中学校で部活動を指導するなど、地域に根差した活動にも力を入れている。2020(令和2)年からは杉並区卓球連盟会長として、区内の卓球大会の運営にも積極的に関わっている。「これからも地域に貢献していきたい。杉並には世界一の卓球メーカー、タマスがある。その地で卓球をもっと盛んにしていきたいと思っています」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 産業・商業>杉並の企業>株式会社タマス

取材を終えて
取材時はコロナ禍にあり国広さんも、試合が全くできずZOOMの会議で大会の方針を決める日々だという。しかしながら東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催はもう間近だ。水谷隼選手や張本智和選手、伊藤美誠選手などの活躍が楽しみでたまらないという感想を伺い、改めて卓球界にエールを送りたいと思った。

国広哲弥 プロフィール
東京都中野区出身。東京経済大学卒業。
主な戦績
1999年 「全関東社会人卓球選手権大会シングルス一般」第3位
2000年 「全関東社会人卓球選手権大会ダブルス一般」準優勝
2004年 「全日本卓球選手権大会(マスターズの部)30代」第3位
2005年 「全日本クラブ卓球選手権大会一部」第3位
2006年 「全関東社会人卓球選手権大会シングルス30代」準優勝
2007年 「全日本卓球選手権大会(マスターズの部)30代」第3位
現在は、経営するクニヒロ卓球(杉並区上荻1-18-13)のコーチのほか、バタフライ卓球道場の教室の講師なども務めている。杉並区卓球連盟会長。

タマスの創業者・田舛彦介さんから「杉並で卓球をするならぜひ子供たちを指導してくれないか」とのアドバイスを受け、クニヒロ卓球でもジュニアクラスを開設している

タマスの創業者・田舛彦介さんから「杉並で卓球をするならぜひ子供たちを指導してくれないか」とのアドバイスを受け、クニヒロ卓球でもジュニアクラスを開設している

DATA

  • 公式ホームページ:https://www.kunitaku.com/
  • 取材:高橋 彩(区民ライター講座実習記事)
  • 撮影:高橋 彩
    写真提供:クニヒロ卓球
    取材日:2021年01月08日
  • 掲載日:2021年04月26日