誰もが自由にくつろげるロビー
住宅地の真ん中、荻窪1丁目にあるゆう杉並(杉並区立児童青少年センター)は、区内唯一の中高生のための児童館だ。子ども家庭部児童青少年課事業係長の小田さんは「何もしなくてものんびりしに来てほしい」と言う。小学生も利用できるが、利用者の約5割が高校生、3割が中学生で、1日平均180人ほどが訪れている。ふらっと一人でくる子もいれば、グループでスポーツやバンド練習をする子もいる。施設の運営についても、「中・高校生運営委員会」(以下、運営委員会)を設置し、中高生自身が運営に関わって、職員と対等の立場で意見交換をしながら、より過ごしやすい居場所になるよう工夫している。
地下1階 体育室・ゆうカフェ
体育室は、567㎡の広々とした運動スペース。譲り合いながらバスケット、卓球、バドミントンなどのスポーツを楽しめる。ゆうカフェでは、調理やクラフトに挑戦できる。
1階 ロビー・ゆうホール
広々としたロビーは天井も高く、吹き抜けになっている。グループや少人数で座れる座席が90席ほどあり、飲食も可能だ。利用者はおしゃべりをしたり本を読んだり、勉強やゲームをしたりして、それぞれの時間を過ごせる。ロビー入り口にはダーツコーナーもある。
ゆうホールは多目的に使える場所で、バンドやダンスのライブも開催される。普段は収納してある電動開閉式112席の座席と照明設備を備え、合唱、演劇、講演会などにも利用されている。舞台の壁面はフリークライミング用の壁になっており、ボルダリングやトップロープクライミングに挑戦することもできる。
2階 スタジオ・ミキシングルーム
講習を受ければバンド練習に使えるスタジオ1・2と、個人での楽器練習やダンス練習ができるスタジオ3がある。ミキシングルームは本格的なレコーディング機材、映像編集機材を備えており、ビデオ編集やデモテープづくりが可能。また、液晶ペンタブレットを使ってアニメイラストも描ける。このほか、DVDを観たりTVゲームを楽しむ鑑賞コーナー、勉強に集中できる学習コーナーがある。
毎年12月に、運営委員会主催の、ゆう杉並全館を使っての文化祭「ゆう杉祭」を開催。年ごとにテーマを決め、中高生自身が企画者となりバンド、ダンス、演劇、ボーカルなどの発表やバスケットやカードゲームなど様々な企画が一堂に会して行われる。
中高生だけでなく地域の誰もが参加できる「地域ふれあいデー」も秋頃に開催。内容は年によって違うが、近隣高校の吹奏楽部の演奏や地域の子ども食堂など多数の団体に参加いただく「多世代交流事業」になっている。ゆう杉並の活動を地域の皆さんに知っていただく・地域で活動している団体を知る機会としている。
また、ゆう杉並に集う中高生が自主的に企画立案し、料理講座、ダンスや音楽のライブ、ゲーム大会、演劇公演などのイベントを実施する「自主企画事業」も行っている。
ゆう杉並には、中・高校生運営委員会の他に「演劇・ボーカル・鉄の会」の3つのオフィシャルな活動がある。「Official演劇」「Officialボーカル」はプロのレッスンを受け、地域のイベントや高齢者施設での公演など意欲的に活動している。「Official鉄の会」では、地域の児童館などで鉄道模型壮行会を行い、幼児から大人まで多くの参加者に喜ばれた。
ゆう杉並事業係長・小田さんからのメッセージ
ゆう杉並は中高生がしたいことをかなえられる場所。職員が一番大切にしていることは、訪れる中高生の一人一人としっかり向き合い話を聞くことです。やりたいことを何でも提案でき、どんな子でも自由に過ごせる居場所としていつでも皆さんを待っています。