誰もが自由にくつろげるロビー
住宅地の真ん中、荻窪1丁目にあるゆう杉並は、区内唯一の中高生のための児童館だ。子ども家庭部児童青少年課事業係長の小田さんは「何もしなくてものんびりしに来てほしい」と言う。小学生も利用できるが、利用者の約6割が高校生、2割が中学生で、2018(平成30)年度は1日平均約180人が訪れた。ふらっと一人でくる子もいれば、グループでスポーツやバンド練習をする子もいる。施設の運営についても、「中・高校生運営委員会」(以下、運営委員会)を設置し、中高生自身が運営に関わって、職員と対等の立場で意見交換をしながら、より過ごしやすい居場所になるよう工夫している。
ロビー以外の各施設はいずれも3人以上で団体登録すれば予約利用が可能。
地下1階 体育室・ゆうカフェ
体育室では、団体予約が入っていない空き時間に、譲り合いながらバスケット、卓球、バドミントンなどのスポーツを楽しめる。ゆうカフェでは、調理やクラフトに挑戦できる。
1階 ロビー・ゆうホール
ロビーはテーブル席とカウンター席が計90席ほどあり、飲食も可能だ。利用者はおしゃべりをしたり本を読んだり、勉強やゲームをしたりして、それぞれの時間を過ごせる。ロビーの入り口にはダーツコーナーもある。
ゆうホールは多目的に使える場所で、バンドやダンスのライブも開催される。普段は収納してある電動開閉式112席の座席と照明設備を備え、合唱、演劇、講演会などにも利⽤されている。舞台の壁面はフリークライミング用の壁になっており、ボルダリングやトップロープクライミングに挑戦することもできる。
2階 スタジオ・ミキシングルーム
3つあるスタジオは、講習を受ければバンド練習に使える。ミキシングルームは本格的なレコーディング機材、映像編集機材を備えており、ビデオ編集やデモテープづくりが可能。また、液晶ペンタブレットを使ってアニメイラストも描ける。このほか、DVDを観たりTVゲームを楽しむ鑑賞コーナーもあり、一人でも仲間同士でも利⽤できる。
毎年12⽉に、運営委員会主催の、ゆう杉並全館を使っての⽂化祭「ACTIVE FESTA」を開催。年ごとにテーマを決め、100⼈を超える中⾼⽣が、バンド、ダンス、料理、演劇、ボーカルなどに参加し、発表している。2018年度は、変則的に3月に「楽しい春のゆうまつり~ゆう杉並の⽂化祭~」という名称で実施した。
2018(平成30)年から、中高生だけでなく地域の誰もが参加できる「多世代交流事業」を開催している。内容は年によって違うが、近隣の中学校の和太鼓サークル、近隣高校茶道部の実演や、ゆう杉並に集まる中⾼⽣がダンスや⾳楽のライブを⾏うなど、ゆう杉並の活動を地域の⼈々に広く知ってもらう機会になっている。
また、ゆう杉並に集う中高生が自主的に企画立案し、料理講座、ダンスや音楽のライブ、ゲーム大会、演劇公演などのイベントを実施する「自主企画事業」も行っている。
ゆう杉並には4つのオフィシャルチーム(アニメ、演劇、鉄道、ボーカル)があり、アニメチームは中高生自身が好きな声優を招いて講演会を開いたり、ボーカルチームはプロのレッスンを受け阿佐谷ジャズストリートに参加したり、それぞれ意欲的に活動している。区立善福寺北児童館の「プラレール友の会(トモテツ)」が主催した「鉄道広場」というイベントでは、ゆう杉並の鉄道チームが児童館で「鉄道模型走行会」を行い、幼児から大人まで多くの参加者に喜ばれた。敬老施設では、演劇チームが朗読会を催し高齢者の好評を得た。
ゆう杉並事業係長・小田さんからのメッセージ
ゆう杉並は中高生がしたいことをかなえられる場所。職員が一番大切にしていることは、訪れる中高生の一人一人としっかり向き合い話を聞くことです。やりたいことを何でも提案でき、どんな子でも自由に過ごせる居場所としていつでも皆さんを待っています。