西照寺

道了堂(どうりょうどう)の繊細な木彫刻

道了堂(どうりょうどう)の繊細な木彫刻

100年育まれた緑と、四季折々の花々

西照寺(さいしょうじ)は、島崎藤村の寄宿先とも伝わる芝白金町(現港区白金)にあった境内が、道路整備で分断されることとなり、1911(明治44)年、杉並村高円寺(現杉並区高円寺南)へ移転した。
境内には樹齢の長い立派な木々が茂り、緑深く、保護樹林に指定されている松や桜もある。また、季節ごとに梅、ボタン、オオムラサキツツジ、ヤマブキ、ガクアジサイなどの花々が彩りを添え、参拝者の目を楽しませている。
21世の現住職夫妻は「境内は散策自由なので、四季の花を写真に収めたり、落ち葉やどんぐりを拾ったり、雪が降れば雪だるまを作ったりと、それぞれに楽しんでほしい」と言い、杉並移転時の17世住職から受け継いだ自然と触れ合える境内地を大切に守っている。

門前のガクアジサイと、道了和尚をまつることを知らせる1912(大正元)年造の石碑

門前のガクアジサイと、道了和尚をまつることを知らせる1912(大正元)年造の石碑

江戸後期に造られた道了堂

杉並区の登録有形文化財(2001(平成13)年2月指定)である道了堂は、妙覚道了和尚(※1)をまつるため、江戸後期に造られたと推定されている御堂である。西照寺が高円寺南へ移転した際、久留米藩有馬家の上屋敷(現港区三田)にあったものを譲り受けたと伝わる。正面向拝柱上部に施された獅子飾りの木彫刻が繊細な造りで、肉球も見て取れる。
また本堂には、かつて江戸西方三十三観音(※2)の26番札所であった時の札所本尊と思われる「不空羂策観音」(※3)もまつられている。

道了堂は、昭和末期の解体修理を経て継承されている

道了堂は、昭和末期の解体修理を経て継承されている

誰でも参加できる除夜の鐘つき

毎年大晦日の23時半過ぎに再開門され、一般の参拝者も除夜の鐘をつくことができる。鐘の回数は108にこだわらず、希望者全員つくことが可能だ。

宗派 曹洞宗
本尊 釈迦如来坐像

※1 妙覚道了和尚(みょうがくどうりょうおしょう):小田原の大雄山最乗寺(だいゆうざんさいじょうじ)を開いた了庵慧明(りょうあんえみょう)禅師の弟子。天狗に身を変じたとされる。道了薩埵(さった)とも称される
※2 江戸西方三十三観音:江戸時代に組織された、江戸西方33ケ寺(現港区・渋谷区)の観音を参詣する札所(巡礼者が参詣のしるしに札を納めたり受け取ったりする所)
※3 不空羂索観音(ふくうけんじゃくかんのん):観音の変化身。羂索とは漁猟の道具で、この観音が大悲の羂索により一切の衆生(しゅじょう)を救済することを意味する

1720(享保5)年製の鐘は、第二次世界大戦時の金属回収令により政府に回収された。現在の鐘は1960(昭和35)年に新鋳されたもの

1720(享保5)年製の鐘は、第二次世界大戦時の金属回収令により政府に回収された。現在の鐘は1960(昭和35)年に新鋳されたもの

DATA

  • 住所:杉並区高円寺南2−29−3
  • 電話:03−3311–7534
  • 最寄駅: 新高円寺(東京メトロ丸ノ内線)  高円寺(JR中央線/総武線) 
  • 取材:さるり(区民ライター講座実習記事)
  • 撮影:さるり
  • 掲載日:2019年09月02日