阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし

著:阿佐ヶ谷姉妹(幻冬舎)

2018(平成30)年の「女芸人No.1決定戦 THE W」(※)で優勝し、乗りに乗っているお笑いコンビ「阿佐ヶ谷姉妹」の初エッセイ集。トレードマークのピンクのドレスを脱いで、芸能人から生活者に戻った普段着の二人が、阿佐谷暮らしをリレー形式でつづっている。
姉役の渡辺江里子さん(以下、江里子さん)は、学生時代から阿佐谷に暮らして20数年。妹役の木村美穂さん(以下、美穂さん)は、江里子さんと親しくなったことが縁で阿佐谷に住み始め、やがて江里子さんの部屋に居着くようになった。六畳一間でのタイトな二人暮らしに始まり、6年間の同居を経て、美穂さんが江里子さんの隣室に引っ越し、二人の関係に程よい距離感ができるまで、日常のちょっとした出来事が写真とイラストを交えて語られる。同居しているからこそ気がつく双方の癖に対する小さな不満告白もあるが、仕事の相方との密着度の高い同居生活を、美穂さんが「江里子過多」と呼ぶなど、ユーモアあふれる表現に互いの存在を大切に思っている気持ちが伝わってくる。飾り気のない語り口も心地よく、読後には二人が、振り向けば隣にいそうな身近な存在に変わるかもしれない。
ほかに書き下ろし恋愛小説2編も挿入されている。江里子さん、美穂さん、それぞれが1編ずつ創作し、書き手によって異なるテイストを楽しめる。

※ 女芸人No.1決定戦THE W:2017(平成29)年より日本テレビ放送網が主催している女性お笑い芸人のコンテスト

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並まちあるき>阿佐ヶ谷姉妹と阿佐谷を歩く

作者メッセージ

阿佐谷での日々のじみ~な出来事や周りの方々とのお話を、姉妹で交互につづってみました。妹みほの短編小説の舞台も阿佐谷です。阿佐谷尽くしな一冊、阿佐谷のお近くの方にも遠くの方にも、のんびりとお読みいただけたら幸いです。

おすすめポイント

芸能活動自体が「阿佐谷の最強応援団」になっている阿佐ヶ谷姉妹。このエッセイ集は「阿佐谷へのラブレター」的な趣がある。
なじみの店の人との交流を語るくだりには、二人がそれを大切にしている気持ちが文章の端々ににじみ出ている。阿佐ヶ谷姉妹の気さくな人柄と相まって、人と人との距離が近い阿佐谷の魅力をアピールするエピソードだ。
阿佐ヶ谷姉妹にとって阿佐谷は、近所付き合いに恵まれた立ち去りがたい町。文中では、「いつか、住んでいるアパートを買い取って、親しい人たちと共同生活したい」という夢を語っている。読後に、この本をガイドブック代わりにして、阿佐ヶ谷姉妹の愛する阿佐谷を探訪し、その魅力を発見してみるのもいいだろう。

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DATA

  • 取材:村田理恵
  • 撮影:村田理恵
  • 掲載日:2019年06月24日