子ども食堂

おいしい、うれしい、杉並の「子ども食堂」

「おいしいし、お友だちがいるから楽しい!」。小さな手で上手に箸を使い、ほかほかのにゅうめんを食べている女の子。刻んだ青菜のほか、花形に抜かれたニンジンが彩りを添えており、栄養面だけでなく、見た目にも作り手の心配りが感じられる。「子供たちの笑顔がうれしい。何度も来てくれる子たちと、すっかり仲良しになりました」。空っぽになったおわんを片付けながら、ボランティアスタッフが目を細める。
無料または低価格で食事を提供する「子ども食堂」。その活動自体は古くからあったが、2012(平成24)年にこの名前が使われ始め、認知度が高まるにつれて日本各地に広がりをみせている。杉並区内では8カ所の食堂が運営中(2018年2月現在)。集まった子供や大人、みんなで一緒に食事をしながら、地域のつながりを強くすることを目的に活動している。

誰でも大歓迎

誰でも大歓迎

「杉並子ども食堂ネットワーク」の目標

2014年(平成26年)7月、当時主任児童委員を務めていた能登山さんは、さまざまな事情を抱えている子供たちの長期休暇中の食事を心配していた。そこで、夏休みの毎週水曜に、西荻窪にあるコミュニティー食堂を利用して「子ども食堂」をオープン。「ただ食べるだけでなく、マーマレードを作ったり、アジをおろしたり、食事の支度も子供たちと一緒にしました」。2016(平成28)年8月からは、要望に応えて毎月1回「西荻・寺子屋食堂」を開いている。
その後も、「はっぴー食堂」「バードバス子ども食堂」など、杉並の各所に「子ども食堂」が次々と誕生。初めは個々に活動していたが、能登山さんの呼びかけで、2016年末に「杉並子ども食堂ネットワーク」という区内の食堂同士のつながりができた。現在も関係者が定期的に集まり、周知のためのリーフレットを作成したり、食材の情報交換などを行っている。
杉並区社会福祉協議会も、職員がネットワークに参加しながら、助成対象として杉並の「子ども食堂」の活動を後押ししている。中島係長は、「地域の賛同者も多く、個人や商店から食材などの寄付をいただいたり、JAが毎月野菜を提供してくれたりと企業や団体からの支援もあります。寄付の仕組みを構築することが今後の課題です。また、食品の安全対策についても、ネットワークで勉強会を行っていく予定です」と話す。目標は、子供たちが気軽に来られること、誰でも利用できること、そして本当に困っている人のセーフティーネットになることだそうだ。
子供たちの笑顔を育む活動が、多くの善意に支えられながら、これからも杉並に深く根付いていくことを期待したい。

PDF:「杉並区内の子ども食堂ご案内」リーフレット(1.5 MB )

「杉並子ども食堂ネットワーク」が作成した、「杉並区内の子ども食堂ご案内」リーフレット

「杉並子ども食堂ネットワーク」が作成した、「杉並区内の子ども食堂ご案内」リーフレット

ネットワークを通じ、杉並の「子ども食堂」同士で余剰食材の交換を行っている

ネットワークを通じ、杉並の「子ども食堂」同士で余剰食材の交換を行っている

「子ども食堂」紹介(1)-西荻窪・善福寺・井草

■西荻・寺子屋食堂(代表:能登山さん)
【開設について】
まずは場所探しからスタート。高齢者を孤食から守るコミュニティー食堂「かがやき亭」を運営するNPO法人「ももの会」に相談し、場所と協力を得ることができました。また、その頃、全国を対象とする「子ども食堂ネットワーク」が各地の「子ども食堂」の立ち上げを応援しており、私もたくさんの支援をもらいました。最初は夏休み期間だけ実施していましたが、2016(平成28)年8月から月1回の開催へ。運営組織として作った「近所のおじちゃん・おばちゃんクラブ」の会員やボランティアの方々が実働の支援者です。
【食堂の様子】
利用者は、スクールソーシャルワーカーに連れて来てもらっている小・中・高校生、幼児連れの家族などさまざまです。子供たちも、食事の準備を楽しそうに手伝っています。一汁一菜というテーマでお料理教室もやりましたが、中高生の男子もエプロンを付けて張り切っていました。全員での「いただきます」のあと、おしゃべりしながら1時間くらいの食事タイム。食後は、お茶を飲んだりトランプをしたり、まったりとした時間を楽しんでいます。
【DATA】
住所:杉並区西荻北4-4-4 かがやき亭
電話:090-9006-3910
メール:meibi@jcom.home.ne.jp
    notosan_desu@gmail.com
営業日時:毎月第2土曜日 18:30~20:00
料金:子供200円、大人400円
予約:不要

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■善福寺児童館 わいわい食堂
(中高生タイム食堂コーナー)
(代表:能登山さん)
【開設について】
「西荻・寺子屋食堂」をスタートしたころ、児童館にも「子ども食堂」を開設したいという提案をしました。館長の理解と協力を得て、児童青少年課とも何度も話し合い、2017(平成29)年7月、保護者の承諾を得た中高生を対象とする「わいわい食堂」ができました。児童館の「中高生タイム」の間に、勉強コーナー、プレイコーナー、食堂コーナーを開催しています。
【食堂の様子】
「中高生タイム」ということで、対象は中学生と高校生。その日の参加者とスタッフ、児童館職員、ボランティアの大学生と一緒に食事をしています。はじめは2~3名でしたが、今では多いときは10名以上の参加があります。食事は、子供が手を出しやすい、アレルギーに配慮したメニューを工夫し、わいわい言いながら楽しく食べています。夏休みなど長期のお休みには、小学生も参加できるランチタイムを行っています。
【DATA】
住所:杉並区善福寺1-18-9 善福寺児童館
電話:03-3395-1576
営業日時:毎月第4水曜日 18:00~19:30
料金:200円
予約:事前に善福寺児童館へ申込書を持参(申込書は児童館にあります)
http://www.city.suginami.tokyo.jp/kosodate/yakudatsujoho/jidoukan/1024856.html

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■井草・ゆうゆう見守り隊~ふれあい食堂(担当:佐々木さん)
【開設について】
ゆうゆう井草館の利用者から、「子供たちを高齢者のマンパワーで育て、そこから元気をもらいたい」という思いをいただきました。そこで、高齢者の見守りのもと、遊びに来た小学生に夕食を提供できるような、多世代交流の場として「ゆうゆう見守り隊」を2016(平成28)年に発足。1年間実施したもののなかなか利用者が増えず、2017(平成29)年4月に「ふれあい食堂」と名付けたことで、来ていただけるようになりました。
【食堂の様子】
当館の利用者や地域の方がボランティアとして支えています。利用者は高齢者、小さなお子さん連れのお母さん、学童クラブの小学生などです。大きな家族のようにみんなで「いただきます」を言ってから食べるんですよ。食後も、高齢者が子供たちの卓球を見守ったり、折り紙を教えてくれたりしています。メニューは、2017年度はカレーとハンバーグの具材を変えながら交代で提供。かぼちゃのカレーが人気で、お代わりもたくさん出ます。年2回は利用者と一緒に作るメニューを考えています。
【DATA】
住所:杉並区井草2-15-15 ゆうゆう井草館
電話:03-3390-9672
メール:igusa@yuyu-kan.jp
営業日時:毎月第3水曜日 17:00会食~(※16:30受付)
料金:子供150円、大人300円
予約:電話、ファックス、直接申し込み
http://igusa.yuyu-kan.jp/

子供たちもコロッケ作りのお手伝い

子供たちもコロッケ作りのお手伝い

みんなそろって「いただきまーす」

みんなそろって「いただきまーす」

「子ども食堂」紹介(2)-高円寺

■高円寺子ども食堂(代表:石川さん)
【開設について】
いろいろな事情により食事が十分にとれない子や、孤食の子がいることを知り、力になりたいと思いました。カトリック高円寺教会のホールを無料でお借りできたことが、2016(平成28)年5月の開設につながりました。個人で立ち上げたので、食器・調理具の調達やボランティアの確保、ホームページの制作依頼、チラシの発注やポスター貼りなど、開設までの準備は一人で行いました。
【食堂の様子】
予約制ではなく「誰でも来てください」と呼び掛けています。高齢者の利用もありますが、ほとんどが親子連れで、幼児や小学校低学年が主です。折り紙やトランプ、絵本の読み聞かせなど、食後の遊びにも力を入れています。食事はおいしく、栄養面でも十分なものを考えており、1年間同じメニューを作りませんでした(ホームページに全部載せています)。スタッフの7割は教会のボランティアの方です。
【DATA】
住所:杉並区高円寺南2-33-32
   カトリック高円寺教会 聖堂地下1階マイエホール
電話:080-6584-0435(石川)
メール:koenji.kidskitchen@gmail.com
営業日時:毎月第1・3土曜日 12:00~14:00
料金:子供(高校生まで)無料、大人300円
予約:不要
ホームページ:http://www.koenji-kodomo.net/

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■高円寺わくわく食堂(代表:由井さん)
【開設について】
ニュースで「日本の子供の6人に1人が何らかの貧困状態(当時)」「両親が働いているため夕食は子供一人だけで食べている」というのを耳にして、月に1回でもみんなでわいわい騒いで食べる楽しい食堂ができたらと考え、2016(平成28)年4月にオープンしました。会場は町会会館で、地元の米屋・青果店・肉店・陶器店・JAが食材の提供など協力をしてくれています。スタッフは地元ボランティア8名です。
【食堂の様子】
参加者は幼児から高校生までの子供と付き添いの母親、ほとんど地元の方々です。これからは、共働き家庭の子供たちや、元気な年配者の方などにも参加してもらったらどうかなと考えています。食事は、ご飯と味噌汁とおかずを基本型として、国産の食材を使った和食が中心。毎回違うメニューにしています。地元の居酒屋のおやじさんが、自分の店を休みにして料理長として手伝ってくれているんですよ。食後は、地元のゲーム店「すごろくや」の社員が、ボランティアで面白いゲームをして遊んでくれます。
【DATA】
住所:杉並区高円寺北2-2-21 高円寺北2丁目町会会館
電話:090-7228-9255
メール:yui@sepia.ocn.ne.jp
営業日時:毎月第2金曜日 17:00~19:00(※8月休み)
料金:子供無料、大人300円
予約:電話で申し込み

節分の日のメニューの一例。デザートのパウンドケーキは、近くの学校が調理実習したときのものをプレゼントしてくれた

節分の日のメニューの一例。デザートのパウンドケーキは、近くの学校が調理実習したときのものをプレゼントしてくれた

子供たちにとって、食後の遊びもお楽しみの一つ

子供たちにとって、食後の遊びもお楽しみの一つ

「子ども食堂」紹介(3)-和田・永福

■バードバス子ども食堂(代表:櫻木さん)
【開設について】
NHKの「子ども食堂」の特集を見たのがきっかけです。カフェを経営しているので場所はあるし、食事も作れるのだから、自分たちにもできるのではないかと考えました。同じ地区の⼦育て⽀援「NPO法⼈ゆるゆるma~ma」さんに提案したところ「共同でやろう」と言っていただき、思い立ってから2カ月後の2016(平成28)年3月にスタート。「ゆるゆるma~ma」さんとは、互いに相談しつつ進められ、とても順調です。チラシのデザインは近所のママさんデザイナーが、ホームページは友人がボランティア価格で作ってくれたおかげで、初期費用が抑えられました。
【食堂の様子】
0歳から80代まで幅広い年齢層の利⽤者は、近所のお友達が欲しい方や、地域のつながりを求めるシニアの方などさまざまです。地域ボランティアさんと作る⾷事は季節の野菜を使い、行事があるときはそれにちなんだメニューを用意しています。こどもの日には、春巻きの皮で兜をおり、具を入れて作った「兜のサモサ」、夏には「白玉いりフルーツポンチ」など。地域の知り合いが増えることは、防犯の目にもなると思っています。
【DATA】
住所:杉並区和田3-6-7 カフェバードバス
電話:03-3312-7888
メール:wada.2kodomo@gmail.com
営業日時:毎月第1木曜日 18:30~20:00(※18:00受付)
料金:子供(中学生まで)無料、高校生以上300円
予約:電話またはメールで申し込み
http://www.kodomo-syokudou.com/

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■はっぴー食堂(代表:小松崎さん)
【開設について】
「バードバス子ども食堂」さんの立ち上げ準備を、私達「NPO法人ゆるゆるma~ma」がサポートする中で、2団体で実施した方が和田に2つの食堂ができ、地域の居場所を増やせると思い、2016(平成28)年4月に立ち上げました。お互いに、ボランティアさんや寄付食材、そして悩みも共有できるので、運営はとても順調です。「ゆうゆう和田館」の受託をしており、場所にも恵まれました。
【食堂の様子】
地域のボランティアさんや団体さん、近所の商店さんによって支えられています。利用者は0才から80代で、親子40名、高齢者10名ほど。引っ越してきたばかりで友達を作りたい方をはじめ、地域のつながりを求める世帯の利用が多いです。メニューには旬の食材を取り入れ、そのときの寄付食材によってレパートリーを増やしています。クリスマスなど、季節の行事があるときはスペシャルメニューを作ります。
【DATA】
住所:杉並区和田1-41-10 ゆうゆう和田館2F
電話:03-3312-7888
メール:wada.2kodomo@gmail.com
営業日時:毎月第3金曜日 18:30~20:00(※18:00受付)
料金:子供(中学生まで)無料、高校生以上300円
予約:電話またはメールで申し込み

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■ふくぷくひろば(えいふくまんぷくひろば)(永福児童館:上田さん)
【開設について】
2016(平成28)年6月に、「子ども食堂」の活動に関心のある地域の方が永福南児童館に集まりました。孤食の子供たちに、みんなで食べる楽しさを経験してほしいと思ったことがきっかけです。同年9月に、調理や工作、ステージイベントを取り入れた1回目の「子ども食堂」を開き、約160名の参加がありました。現在も年2回開催しています。また、小中学生向けの学習支援「木曜cafe勉」や、定期試験前学習支援「cafe勉」でも軽食を提供しています。
【食堂の様子】
「子ども食堂」の参加者は、主に乳幼児の親子と小学生です。カレーやオムライス、クリームシチューオンザライスなどを、NPO法人「すぎなみのたね」さんの協力のもと、一緒に作ってみんなで食べます。材料を切ったり配膳をしたり、自分で作るときの知識になることも重視しています。「cafe勉」では、クラッカーにクッキーをサンドして温めるメニューなどを楽しんでいます。
【DATA】
住所:杉並区永福2-6-12 永福南児童館
電話:03-3322-6148
メール:suginami.kodomo.s@gmail.com(林)
営業日:「子ども食堂」6月・9月
  「木曜cafe勉」毎週木曜、「cafe勉」年5回
料金:「子ども食堂」子供100円、大人200円
  「cafe勉」軽食の日50円
予約:事前~当日申し込み可(※日程は児童館にお問い合わせください)

運営にはボランティアスタッフの協力が欠かせない

運営にはボランティアスタッフの協力が欠かせない

寄付やボランティアを希望する方は、各「子ども食堂」へご連絡を

寄付やボランティアを希望する方は、各「子ども食堂」へご連絡を

DATA

  • 電話:03-5347-1017(社会福祉法人杉並区社会福祉協議会)
  • 取材:西永福丸
  • 撮影:西永福丸
  • 掲載日:2018年03月12日