トロールの森は、都立善福寺公園で2002(平成14)年から行われている国際野外アート展。現代アートを身近な場所や空間の中で多くの人に鑑賞してもらいたいと、ギャラリー「遊工房アートスペース」の村田夫妻が中心となってスタートした。2012(平成24)年からは地元有志、学校、アーティストで構成された「トロールの森実行委員会」が引き継いで運営しており、毎年11月3日~23日に開催されている。
開催については、地元の理解、協力を得るための努力をし続けた結果、熱意は徐々に認められ、2013(平成25)年からは会場をJR西荻窪駅周辺へと拡大。善福寺公園での屋外展示のみならず、街中(まちなか)のカフェやビリヤード場内で、ダンスやマイムのような身体表現を用いたアートなども行われるようになった。2017(平成29)年には、「区立坂の上のけやき公園」での展示も開始。近隣小学校の児童の作った、等身大の板に鮮やかに彩色を施した作品「おでかけトロール」が飾られ、公園にいたずら好きの妖精がいるかのように見えて人々を楽しませた。
都立公園という公共の場を誰がどのように使っていくのか、半ば実験的に始まったアート展示は、今や、区内外のアーティストやボランティアスタッフ、学校、地元の店舗などの協力を得て、ますます広がりを見せている。
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Q:「トロールの森」という名称の由来は?
A:悪さをすることもある北欧の妖精「トロール」に由来しています。公共の場所である公園に、毎年出現する作品を「トロール」に、また、善福寺公園の緑を森に見立てました。
Q:どのようなアーティストの作品を展示しているのですか?
A:善福寺公園の空間表現の展示は公募しています。街中のパフォーマンスについては、イベントの企画に合うアーティストに実行委員会から声をかけて、参加していただきます。
Q:善福寺公園の巨大なアートは、どのように設置していますか?
A:アトリエなどで制作して設置する作品もありますが、ほとんどの作品は善福寺公園で制作します。園内で伐採された廃棄予定の木々を利用したり、周辺の自然を生かしながら制作する作品もあります。
Q:屋外展示ならではの苦労はありますか?
A:2017(平成29)年のように、台風などの天候で、雨の中での制作となったり、制作途中から完成・公開・展示できるまでの管理が大変です。また、高い木の上に飾る作品や重い作品などの設置には、高所作業や転倒防止策など安全管理が重要になります。野外での設置、展示なので、事故が起こらないように安全に留意して、一人でも多くの皆さんに楽しんでいただきたい一心で、実行委員一同で取り組んでいます。
開催期間:2024年11月3日(日・祝)~23日(土・祝)
場所:都立善福寺公園(上池)、杉並区立桃井第四小学校、西荻窪~善福寺周辺店舗・ギャラリーほか