よちよち文藝部

著:久世番子(文藝春秋)

漫画家・久世番子(くぜばんこ)さんと女性編集者が「よちよち文藝部」を結成。「日本文学・文豪の故(ふる)きをテキトーに温(たず)ね、新しきを知ったかぶる」という目標のもと、名作や作家を18章の漫画でわかりやすく解説している。例えば、梶井基次郎の『檸檬(れもん)』は、主人公の「私」が街をさまよう様子をテレビで人気の散歩番組をまねて、夏目漱石の『坊っちゃん』は、坊っちゃんがSNSで日記を公開したら、という具合に、創意に富んだ紹介がされている。
おすすめポイント
いずれ読もうと思いつつ後回しにしている文学作品はないだろうか?この漫画のユニークな視点が、名著を手に取る後押しをしてくれるかもしれない。実際にライターも、芥川龍之介の『歯車』に対し、番子さんが「三点リーダー(…)が多い」と着目した点に興味が湧き、文中の「…」を追ううちに完読できた。登場する作家の中には、中原中也、太宰治、井伏鱒二といった杉並ゆかりの文豪もいる。漫画で人となりを知れば、「中原中也は太宰治に“青鯖(さば)が空に浮かんだような顔をしやがって”と、からんだことがあるんだよ」などと、地元文学通を気取ることもできるだろう。
2016(平成28)年から、『別冊文藝春秋』とWEBサイト「note」で『よちよち文藝部』セカンドシーズン(外国文学編)の連載がスタート。同サイトで、本書の内容も1カ月に1章ずつ読める。

▼関連情報
note よちよち文藝部 久世番子(外部リンク)

DATA

  • 取材:西永福丸
  • 掲載日:2017年01月23日