高千穂学園武道場

100年の歴史を伝える、区内最古の木造学校建築

高千穂学園武道場は、1913(大正2)年、高千穂高等商業学校(現高千穂大学)の柔・剣道の道場として建てられた。白い下見板張り(※1)の外壁に、レンガ色の切妻桟瓦葺屋根(※2)をもつドイツ様式の建物である。内部は100畳の稽古場と支度部屋からなり、神棚や、床の間の「合気道」の掛け軸が厳かな雰囲気を醸し出す。
区内最古の木造学校建築として、1984(昭和59)年3月に杉並区指定有形文化財に指定された。その後、1996(平成8)年に一部を改築し、当初の姿に復元した。床下には衝撃を吸収する36本のスプリングと、吸音効果を高める大甕(おおがめ)が10個あるが、これらは創建当時に設置されたものである。また、天井の梁(はり)も昔のまま残っており、広々とした空間を確保するための、かつての技術がうかがえる。
武道場は現在、高千穂大学合気道部が使用している。道場内にある2面の名札掛には、過去50年にわたる合気道部卒業生の名札が整然と並ぶ。取材時、主将から受け身を見せてもらうと、畳に落ちた瞬間、ドシンではなくボーンという音が床下から道場全体に響いた。大甕の効果である。「稽古をしていると、床が揺れるのと音が響くのを感じる。」と女性部員も話す。
高千穂学園は、無料で個人や団体の武道場の見学を受け入れている(要電話予約)。歴史ある道場内に足を踏み入れれば、それだけで身も心も引き締まることだろう。

※1 下見板張り(したみいたばり):板壁の一種で、上の板の下端がその下の板の上端に少し重なるようにする張り方
※2 切妻桟瓦葺(きりづまさんがわらぶき)屋根:切妻は棟の両側が斜面になっている屋根のこと。桟瓦葺は、横断面が波型で1隅または2隅に切り込みがある瓦(桟瓦)で屋根をふくこと

DATA

  • 住所:杉並区大宮2‐19‐1
  • 電話:03‐3313‐0145
  • 最寄駅: 西永福(京王井の頭線) 
  • 公式ホームページ:http://www.takachiho.jp
  • 取材:小川あやの(区民ライター・区民カメラマン講座実習記事)
  • 撮影:Mana(区民ライター・区民カメラマン講座実習記事)
    写真提供:高千穂学園
  • 掲載日:2016年09月26日

外観は洋風。張り出した玄関に、「武道場」と筆太に書かれた文字版が掲げられている。建築面積は204.60㎡(約62坪)

外観は洋風。張り出した玄関に、「武道場」と筆太に書かれた文字版が掲げられている。建築面積は204.60㎡(約62坪)

床下にある大甕(手前)とスプリング(右奥)。特別に床を外してもらって撮影

床下にある大甕(手前)とスプリング(右奥)。特別に床を外してもらって撮影

武道場は大学の敷地の北側に静かに立つ。かつては校舎と渡り廊下でつながっていた

武道場は大学の敷地の北側に静かに立つ。かつては校舎と渡り廊下でつながっていた

合気道部の稽古の様子(写真提供:高千穂学園)

合気道部の稽古の様子(写真提供:高千穂学園)