草子ブックガイド

著:玉川重機 (講談社モーニングKC)

14歳の草子は、だらしない父親と西荻窪で二人暮らし。中学校にも馴染めず、本の世界に浸ることが唯一の幸せだった。だが、ある事件をきっかけに古本屋「青永遠屋(おとわや)」の店主と知り合い、生活が一変。店主のすすめで大好きな本のブックガイドを書いていくうちに、自分の居場所や進む道が見つかり、強くなってゆく。やがて、草子の作るブックガイドは、まわりの人々をも励ますように・・・。
作者インタビュー
お風呂が好きで、銭湯がたくさんある杉並区に魅かれ、区内の銭湯を小さな旅気分でまわっていたという玉川さん。本作の1話目を考えているときに、西荻窪に引っ越しており「この物語は、この町以外に舞台はない」と思われたとのこと。「西荻窪は本とお酒とお湯(銭湯)の町、いずれも自分が好きなものです。まるで西荻窪に呼ばれたような気がしました。」個性豊かな店がいっぱいあって、人の「顔」が見えるところも玉川さんにとっての西荻の魅力だとか。「『草子ブックガイド』は本がテーマのお話ですが、町のお話でもあると思っています。ブックガイドとともに西荻窪を楽しんでください。」
おすすめポイント
1話に1作品、「銀河鉄道の夜」や「老人と海」などの有名文学作品が取り上げられている。草子が書いたブックガイドという形式で、親しみやすい文章とかわいいイラストで解説されているので、自分が読んでみたい本を探す際の良い参考になるだろう。毎回ブックガイドの最後を飾る、その文学作品を1枚絵に表した玉川さん渾身のファンタジックな大ゴマは必見! また、舞台が西荻窪なだけに、たこ焼き屋「たけちゃん」や銭湯「天狗湯」など、地元民におなじみの店が背景にさりげなく登場しているのも嬉しい点である。

DATA

  • 取材:西永福丸
  • 掲載日:2013年07月01日