ソメイヨシノの受難

一番身近な桜は?

私達が日常見る桜の種類で最も身近なものがソメイヨシノです。ソメイヨシノは園芸品種で、江戸時代末期に染井村(現・豊島区駒込)の植木屋がエドヒガンとオオシマザクラを掛け合わせて作り出し、奈良の吉野山の桜にかけて名づけたと言われています。
葉が出る前に一斉に咲きパッと散る花は一夜の夢のようです。その咲き方は近代に入ってから戦前まで日本人の生き方になぞらえて大変好まれ、日本全国に植栽されていきました。生長が速く、すぐに大きくなることから、戦後も、敗戦で荒れ果てた国土に大量に植えられていきました。このように、ソメイヨシノは我々にとって最も身近な桜といえます。

杉並区立中瀬児童遊園の桜

杉並区立中瀬児童遊園の桜

命短し…?

これまでソメイヨシノは寿命の短い樹木であるといわれてきました。「接木で殖やすクローンであるため」とか、「桜の伝染病である天狗巣病にかかりやすいから」などの諸説があります。しかし、近年の研究者によれば「大量に植えすぎて桜同士が日陰になって弱る」や「密植によって病気にかかりやすい」また、「花見の時期に大勢の人々に根元を踏まれるために根が痛みやすい」や「酔客に枝を折られてそこから腐朽菌が浸入する」など、ソメイヨシノが植えられる生育環境によって結果的に寿命が短命になる説が有力となっています。

満開のソメイヨシノ

満開のソメイヨシノ

お花見のときは

では…、我々はお花見のときにどうすればよいのでしょう?「騒がず、飲まず、近づかず」品行方正に遠巻きに鑑賞するのがソメイヨシノにとっては理想です…。しかし、それでは我々日本人はおさまりません。花見をしながら宴会をやる民族は世界に例がなく、そういう意味では、貴重な日本の「伝統文化の集大成(!?)」かもしれない花見の宴はなかなかやめられそうにありません。とは言え、人口の多すぎる都市部のソメイヨシノを現状のままにしておいてはみんな枯れてしまいます。ではどうすればよいのでしょうか?
具合が悪くなったら樹木医を派遣する方法もありますが、ここは一つ、花の咲いている時期だけでなく、花が終わり葉が茂り、毛虫が出たときも嫌わず、そして秋になり落ち葉を落とす時期も邪魔者扱いせず、ソメイヨシノに気を使う姿勢が必要です。

たとえれば、花を切花として消費する感覚ではなく庭に植えて共に生きる視点でしょうか?共生がとてもうまくいっている例として、青森県弘前市の弘前公園があります。ここでは住人が桜に気を使って世話をしてきた結果、樹齢百年を超えたソメイヨシノが今でも元気に花を咲かせています。

▼関連情報
一般財団法人弘前市みどりの協会「弘前公園桜情報」HP(外部リンク)

花が咲き終わった後も見守ってあげましょう

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自然と上手に共生しましょう

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DATA

  • 掲載日:2009年03月25日