多胡肇さん

実は「体操」は苦手でした

子供の頃は野球少年。球技は何でも得意な多胡さんの唯一苦手な種目の「体操」が気づけば人生の伴侶となりました
-どういうきっかけでこの仕事を始めたのですか?
僕は子供の頃野球をやっていて球技が得意だったんです。体育の先生になりたくて体育大に入ったのですが、先生をやるには体操が出来なくてはいけない。だから大学では「体操」を専攻したんです。卒業後は(スポーツ関係の)違う仕事をしていたのですが、あるとき大学の恩師から「NHKの体操指導者をやらないか」と声をかけられたのです。僕はクラブでもあまり体操が上手な方ではなかったのですが逆に親しみがもてるということかもしれませんね。

多胡肇さん

多胡肇さん

夏休みのラジオ体操の思い出

寄り道しながら会場の原っぱへ。終わったあとも一人公園で延長戦。
-子供の頃はどんな少年でしたか?
勉強はしませんでしたね。遊んでばっかり。地元の少年野球をやっていました。
-夏休みのラジオ体操の思い出はありますか?
ラジオ体操は行きましたよ。寄り道しながら(会場の)原っぱへ行って、終わったあともみんなは帰っても一人で遊んでいました。さすがに皆勤賞ではなかったけど、記念品の鉛筆なんかもらいましたね。当時の団地は子供の数がピークだったから本当に大勢集まりましたね。
-子供の頃、ほかにどのようなスポーツをしましたか?
小学生の頃、新任の先生が月~土曜の早朝7時から8時まで毎朝生徒を集めていろんなスポーツを教えてくれました。僕だけ違うクラスでしたがいつも一緒にやらせてもらっていました。

体操指導者としての日々

収録のある日は朝8:30にNHK入り。終了後は各地で講演や体操指導をしています。また大学の授業が入っている日もあります。
-収録のときの苦労はありますか
収録のときに最も気を配ることは「言葉」を適切に選ばないといけないことです。動きを言葉で正しく伝えることはとても難しいです。
-ある時期から椅子に座った体操が加わりましたけれど、その経緯や視聴者の反響はどのようなものでしたか?
同じテレビ体操指導者の長野信一さんが高齢者や、障害者の方にも出来る体操をとの提唱で10年ほど前より「椅子」に座った体操を取り入れました。反響はとても好評でそれからはずっと椅子の体操を入れています。
-はじめての巡回ラジオ体操の生放送はいかがでした?
心地よい緊張感がありましたが大勢集まってくださった皆さんの力が自分のパワーにつながるので逆に楽しいくらいでした。
-緊張で足が震えるということはなかったのですね?
緊張はありませんでしたね。なにより公開放送の度に2000人近くの人が集まってくださって、みんなが喜んでくれることが逆に喜ばしいです。
-今まで指導者を続けていて、参加者の反響や時代の変化を感じますか?
やはり都市部では参加する子供の数が減っていて、寂しさを感じます。今の子供は忙しいのかあまり参加しない。でも地方では今でも子供たちがいっぱい参加してくれますよ。世代は本当に幅広く親子三世代で参加など色々います。
-今まで地元でやったことはありますか?
いや、中野ではまだやっていません。知っている人がいると、たぶんやりにくいでしょうねぇ。杉並は2007年に上井草スポーツセンターでやりました。
今年も夏休みは夏期巡回で全国43ヶ所、そのほか特別巡回で10ヶ所(2008年は11ヶ所)を廻ります。
公開放送では大勢人が集まってくれるほど(テンションが)上がってきます。皆さん、ぜひ参加してください

朝はいつも5時40分に起きます

-では寝るのは何時頃ですか?
寝る時間は子供と一緒に夜9時に寝ます(笑)。遅くても10時台ですね。11時台のニュースはなかなか見られなくなってきました
-理想的な生活ですね。日々のトレーニングはどんなことをしていますか?
日常のトレーニングは週3回、ウエイトトレーニングを30分程度やっています。
-意外に少ないですね。
まあ、その分、仕事中に動いてますからね。
-休日はどう過ごされているんですか?
休日は子供の少年野球の付き添いをしています。家でゴロゴロすることはありませんね。

ラジオ体操の魅力って

短い時間に身体のあらゆる場所を動かせるラジオ体操。やったあとの爽快感は何物にも替えられません。
-ところで、子供の頃、体育の授業でまじめに準備体操(ラジオ体操第1)やっていましたか?
やってないですね。今思えば、学校の授業ではひとつひとつの動きをきちんと教わってなかったですね。
-ラジオ体操の運動量ってどのくらいですか?
みなさんによく聞かれることなのですが「ラジオ体操第1」で3分10秒という短い時間ですから運動量そのものは少ないかもしれません。ただこの短い時間で全身をまんべんなく動かせるのはラジオ体操の良いところです。
-忙しくてつい運動し忘れてしまう人に何か日常の動作でできる運動はありますか?
普段の生活を運動に置き換えることです。積極的に階段を使うとか、電車で座らず爪先立ちやバランスを保ってみるなど「意識」しながら動かすことです。
-ひざや腰が悪い人が気をつけることは何がありますか?
決して無理をしないことです。まずお医者さんにみてもらうことが大切です。診断を仰いだ上で無理のない範囲で体を動かすことです。体を支えるためにはある程度筋肉が必要なので、出来る範囲で「みんなの体操」や「ラジオ体操」を行っていただき全身をバランスよく動かしてください。それにプラスしてウォーキングやストレッチ、そして趣味のスポーツをするのが理想でしょう。ラジオ体操はそこへ行くことによってご近所さんとコミュニケーションがとれるのが魅力です。そこからグループが出来、さらに広がりが出来ます。
-これを読んでいる皆さんにメッセージをお願いします。
まずは出来ることから始めることが大切です。3日坊主でもいいから運動するきっかけを作りましょう。「継続は力なり」です。

▼関連サイト
すぎなみ学倶楽部 スポーツ ラジオ体操

DATA

  • 取材:藤山三波
  • 掲載日:2008年07月14日