歴史あり!うまい物あり!見どころ満載な高井戸散歩

高井戸の空にそびえる杉並清掃工場の白い大きな煙突

高井戸の空にそびえる杉並清掃工場の白い大きな煙突

癒やしスポットもある杉並清掃工場

「こんにちは~。高井戸周辺をてくてくお散歩するよ。まずは高井戸駅からすぐの杉並清掃工場に行ってみよう!」
1982(昭和57)年竣工(しゅんこう)の杉並清掃工場は、2017(平成29)年に、現在の工場に建て替えられた。その際、周囲の住環境に調和させるようにと屋上や外壁を緑で覆い、工場の周囲には、樹木や花が植えられたウォーキングロードやビオトープが整備されている。
「わぁ~、間近から見上げる煙突は迫力があるね~!煙突の下には、きれいに手入れされた芝生や樹木が広がり、まるで公園に来たみたい」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並のさまざまな施設>杉並清掃工場
すぎなみ学倶楽部 歴史>【証言集】アンネのバラ 咲かせ続ける平和の願い

杉並清掃工場では、色鮮やかな「アンネのバラ」が見られる

杉並清掃工場では、色鮮やかな「アンネのバラ」が見られる

懐かしい自然の風景を再現したビオトープ

懐かしい自然の風景を再現したビオトープ

工場施設内にある「東京ごみ戦争歴史みらい館」では、1966(昭和41)年から約9年間にわたった「東京ごみ戦争」の歴史について、当時の映像や資料を見て学ぶことができる。
また、ごみ焼却の余熱を活用した「環境学習施設 高井戸の里 あし湯」も楽しめる。
「“あし湯”に入って、ゆっくり体を温めるのは気持ちいいよ。ごみ焼却の余熱は、隣接する高井戸市民センターの温水プールや冷暖房にも活用されているんだって」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 歴史>記録に残したい歴史>杉並清掃工場建設をめぐる「東京ゴミ戦争」

無料で「あし湯」が楽しめる

無料で「あし湯」が楽しめる

4月には、藤棚に白や紫の花が咲く

4月には、藤棚に白や紫の花が咲く

栗の花が教えてくれること

杉並清掃工場を出て住宅地を歩いていると、「くりのないとう」の栗畑が見えてきた。
「あれ?白くてニョロニョロしたものが、いっぱい木から垂れ下がっているよ」
「なみすけ、こんにちは。これは栗の花だよ。最近は温暖化の影響で、少し開花が早まっているけれど、栗の花が落ちる頃が梅雨入りの時期ともいわれていますよ」と「くりのないとう」の内藤さんが教えてくれた。栗畑には、約400本の木が植えられており、8月中旬から10月上旬にかけて8種類の栗が収穫できる。そのおいしい栗を求めて多くの人が直売所を訪れるそうだ。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 ゆかりの人々>道を究める>内藤隆さん

5月中旬から咲き始める栗の花

5月中旬から咲き始める栗の花

「立派な栗が顔を出しているよ」(撮影:2020年9月12日)

「立派な栗が顔を出しているよ」(撮影:2020年9月12日)

歴史的建造物の浴風会本館へ

神田川を渡って南に向かって歩いて行くと、街路樹の間に立派な建物が見えてきた。1925(大正14)年、関東大震災で被災した高齢者を援護するために設立された浴風会。設立翌年にできた本館は、当時の面影を残したまま保存活用されている。名称の「浴風」は 『論語』先進篇(せんしんへん)の人間の幸福と思想を説く「浴沂之楽(よくきのたのしみ)」という逸話からつけられた。
「今回は特別に、浴風会の有坂さんに中を案内してもらえることになったよ」
バラの模様があしらわれた本館入り口の扉を開けると、まるでタイムスリップしたかのようにレトロな空間が広がった。有坂さんは「本館は事務所や応接室などで使っています。たまに施設内にある“よくふう保育園”の園児が遊びに来ますよ」と説明してくれた。

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の景観を彩る建築物>浴風会 本館・礼拝堂(らいはいどう)
すぎなみ学倶楽部 歴史>記録に残したい歴史>高井戸の浴風園-高齢者福祉のさきがけ

「深紅の絨毯(じゅうたん)がすてきだね」

「深紅の絨毯(じゅうたん)がすてきだね」

「礼拝堂をバックに有坂さんと写真を撮ったよ」

「礼拝堂をバックに有坂さんと写真を撮ったよ」

本館の裏口から緑豊かな中庭を通り、礼拝堂(らいはいどう)へ。中に入ってびっくり。
「通路の両側に長椅子があって教会のような造りだけど、阿弥陀如来が祀(まつ)られているよ!」
この礼拝堂は、仏教だけではなく他の宗教にも対応できるそうだ。入り口横の階段から2階へ上がり、上から全体を眺めていると、有坂さんが「なみすけ、3階まで行って何があるか見てみませんか」と小さな扉を開けてくれた。恐る恐る階段を上がると、
「あ!お寺でよく見かける鐘があるよ。ここで聞く鐘の音は、迫力ありそう~」
本館と礼拝堂の見学については問い合わせが必要だが、中庭は自由に見学でき、バラや草木、スイレンやメダカを観賞できる池もある。

内部は教会のような造りの礼拝堂

内部は教会のような造りの礼拝堂

「浴風會」の文字が刻まれた梵鐘(ぼんしょう)

「浴風會」の文字が刻まれた梵鐘(ぼんしょう)

かわいい狛犬が必見!上高井戸第六天神社

有坂さんにお礼を言って、浴風会を後にした。
「そうだ!高井戸の鎮守、上高井戸第六天神社へお参りに行こう」
江戸時代初頭、上高井戸村の鎮守社だった神社だ。5分ほどで神社の入り口に到着。一礼して鳥居をくぐり中に入ると、近くに中央自動車道が通っているとは思えないほど、境内は静かだった。進んで行くと本殿の前に一対の小さな狛犬(こまいぬ)がいた。1771年に造立され、屋外に安置されている狛犬としては区内で最も古いといわれている。
「迫力のある狛犬が多いけど、ここの狛犬は素朴な雰囲気でかわいいね」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並の寺社>上高井戸第六天神社
明和八年銘石造狛犬(外部リンク)

立派な門柱が立っている

立派な門柱が立っている

1988(昭和63)年、杉並区指定・有形文化財になった

1988(昭和63)年、杉並区指定・有形文化財になった

ウサギが大好きな店主の店「白兎珈琲店」

「いっぱい歩いたから、おなかもすいてきたぞ。駅の方にあるカフェにでも行ってみよう」
神田川遊歩道を歩いていると、コーヒーのいい香りがしてきた。白兎珈琲(しろうさぎコーヒー)店だ。中に入ると、たくさんのウサギの置物が飾られていた。
「くたくたなぼくに、ぴったりなコーヒーはありますか~」
なみすけのオーダーに、店主の古川さんは「フローラルな香りで気分を高揚させてくれる、エチオピア産の“イルガチェフェ”のコーヒーはいかがですか」と薦めてくれた。
「焼きたての“チャイのシフォンケーキ”は、ふわっふわで、ほんのりと甘いチャイの風味が感じられるよ」

焙煎機(ばいせんき)の上に、店名入りの粋なちょうちんが飾られている

焙煎機(ばいせんき)の上に、店名入りの粋なちょうちんが飾られている

お薦めのコーヒーとウサギの型抜きがかわいいシフォンケーキ

お薦めのコーヒーとウサギの型抜きがかわいいシフォンケーキ

「紅兎(べにうさぎ)ブレンドティー」という紅茶を発見したなみすけ。「コーヒーが苦手な方も来店されますので、紅茶インストラクターにニルギリ(※)をベースにした、シフォンケーキに合う茶葉をブレンドしてもらいました」と古川さん。
「コーヒーだけではなく、紅茶にもこだわりが感じられるね」
例年4月1日のエイプリルフールには、1日だけ店名を変えるそうだ。
「次のエイプリルフールにはどんな店名になるのか楽しみだね」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 食>喫茶店・イートイン>白兎珈琲店

渋みがなくほんのりフルーティーな「紅兎ブレンドティー」

渋みがなくほんのりフルーティーな「紅兎ブレンドティー」

エイプリルフールに「黒犬珈琲店」になった時のグッズ

エイプリルフールに「黒犬珈琲店」になった時のグッズ

土産にぴったり!「高井戸せんべい」

休憩を終え、「環八」まで出てふと向かい側を見ると
「高井戸せんべいって看板があるよ。どんなせんべいを売っているのかな」
看板を出しているのは、おかきとせんべいの専門店「こがね堂」。
「いらっしゃい、なみすけ。うちの商品は防腐剤や保存料は一切使わず、昔ながらの製法で作っています。もち米やうるち米を原料に店の奥で作っているんですよ」とおかみさんが説明してくれた。
「たくさん種類があるよ。どれにしようかなぁ~」
おかみさんのお薦めで一番人気の「豆おかき」と詰め合わせを選んだなみすけ。
「散歩にきて、ご当地土産を買えるのはうれしいね」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 食>スイーツ>こがね堂

「高井戸せんべい」の看板が目印

「高井戸せんべい」の看板が目印

お薦めの「豆おかき」と「高井戸せんべい」詰め合わせ

お薦めの「豆おかき」と「高井戸せんべい」詰め合わせ

色とりどりのコイが泳ぐ神田川

「こがね堂」を出て、神田川に架かる佃橋(つくだばし)を渡った時、川面がパシャパシャと動いたのが見えた。
「うわ~、見て~!コイが3匹泳いでいるよ!」
1972(昭和47)年に、ユスリカ対策として幼虫を食べるコイを放流したそうだ。
「神田川沿いを歩いていると、黒いコイだけじゃなく、赤・金や白などのコイもあちらこちらで見られるよ」
「環八」から一歩中に入ると、とても静かで緑豊かな高井戸。
「神田川沿いは、桜もとってもきれいで春のお散歩も楽しめるよ~」

▼関連情報
すぎなみ学倶楽部 文化・雑学>杉並まちあるき>神田川上流、自然と歴史散策-丸山橋から八幡橋まで-

※ニルギリ:インドの紅茶の三大産地の一つ「ニルギリ」で生産される茶葉

黒いコイが泳いでいた神田川

黒いコイが泳いでいた神田川

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