限定麺の「青じそ煮干し涼麺」(900円)。通常の3倍量のエソ煮干し(※1)で取っただしを使用。上にのせた青じその「和風ジェノバソース」を溶かすと、劇的に味が変化する
新高円寺にあるらーめん処 くろ助は、赤ちょうちんが目印。「醤油ラーメン」「塩ラーメン」「つけ麺」のほか、期間限定麺がメニューに並ぶ。中でも自慢の一杯は、個性の違う2種類の醤油(※2)をブレンドした香り高くうま味の強い「醤油ラーメン」だ。豚の背ガラと丸鶏にエソ煮干しを合わせたダブルスープ(※3)には、たくさんの香味野菜が使われており、食べ進めるに連れて溶け込んだ素材の風味が広がってくる。合わせるのは中細のストレート麺。いくつかの製麺所から取り寄せて、一番ふさわしいものを選別した。
店主の小島さんは数年前から阿佐谷に住んでおり、地域性からファミリー層にターゲットを絞った。「オープンにあたってたくさんのラーメンを試作したのですが、幅広い層に受け入れられるのは昔ながらの醤油ラーメンかなと。化学調味料を使っていないので、小さいお子さんのいる家族連れにも好評です」
また、「新じゃがポタージュの担々麺」「鶏白湯」「梅香る薄口醤油ラーメン」などの期間限定麺は、季節ごとの素材や味で楽しませてくれる。
小島さんが学生時代からやりたかったのは、ラーメン店ではなく実は居酒屋だったという。目標をかなえるために、社員の独立支援に積極的な外食産業に就職したところ、最初にラーメン店に配属された。そこで技術を身に付け、11年にわたって4~5軒のラーメン店で修業をした後、2019(令和元)年11月に自分の店を立ち上げた。「自宅の近くで店を探していたときに元居酒屋で居抜き物件をみつけました、厨房はかなり変えましたが内装はそのまま使っています」
店内には「本日の日本酒」の張り紙があり、ビールや焼酎など酒類も充実。おすすめおつまみのメニューが置かれ、居酒屋としても楽しめる。「夜のお客さまは、化学調味料を使用していない餃子や焼売、チャーシューなどラーメン屋ならではのつまみで飲んで、締めに麺を召し上がります。昼はオフィスワーカーやご近所の人たちがランチで利用、土日は昼も夜も家族連れが多いですよ」。学生時代の目標が思わぬ形で達成された。「めぐり合わせですよね」と小島さんは笑った。
【こだわり】地域の人に幅広く受け入れてもらえるラーメンを
・他のラーメン:「醤油つけ麺」「塩つけ麺」など
・メニュー:白飯、チャーシュー丼/餃子、焼売、ぬか漬け、枝豆、ポテサラ、おつまみチャーシューほか/ビール、日本酒、焼酎/トッピング:ワンタン、チャーシュー、味玉、メンマ、ねぎ、のり/大盛195g
・ラーメン&居酒屋
・カウンター8席、テーブル12席(通常時)
・子供可
・2019(令和元)年11月16日開業
※1 エソ煮干し:うま味が強く高級かまぼこの材料として知られる白身魚のエソを原料にした煮干し
※2 蔵付き酵母が醸すまろやかな塩味と強いうま味が特徴の「下総醤油」と、もろみ醤油に醤油麹(こうじ)・小麦麹・米麹を加え熟成させた濃厚で香り豊かな「甘露醤油」
※3 ダブルスープ(Wスープ):動物系の素材で取っただしと魚介系の素材で取っただしを組み合わせたスープ