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| 『狂言にこめられた深い人間洞察と平和への願い』
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| それから、「面」(おもて)のお話をたくさん伺いました。「面」という字は、
「狂言面」や「能面」という場合には「めん」と読みますが「面」だけの場合では「おもて」と読みます。
狂言の面で代表的なものの一つが「黒式尉」という黒い翁面です。
「翁」という曲で最初に面を入れて舞台に登場する箱のことを「面箱」と呼びます。
面箱は鈴と白翁面と黒い翁面が入っています。
翁面は神様なので、面箱は小さなおみこしと考えられます。
おみこしは、神様がある場所から他の場所へ移動する手段(乗り物の象徴)であるというわけです。
白い翁は太陽神を表していて、黒い翁は五穀豊穣の神様です。
稲は枯れるときに実るので人間も死ぬときに一番充実していたらいいという祈りも黒い翁に込められているそうです。
「翁」では観客の前で演者が面をつけますが、それは、神体である面に人が体を提供するということです。 |
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「能面」は、決して無表情ではありません。
一つの面で、悲しむ顔も笑い顔も表現出来ます。
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無表情な顔のことをよく「能面のようだ」といいますが、ほんとうは能面は様々な表情を見せます。けれどもその表情はおおきくは動きません。例えば、若い女性を表す「小面」(こおもて)という面は、少し下を向くと悲しい表情になる、すこし上を向くと少し笑ったように見えます。
能や狂言では、面のほんの少しの動きで様々な心の動きを表現するのです。
面の裏側には、ふつう黒く漆(うるし)が塗ってあります。これは、面が汗で傷まないようにするためと、面の内側が目や口の穴から白く見えないようにする。ところが、山本家に残る小猿の面の裏側には漆ではなく墨が塗られています。小猿の役は5歳くらいの子どもが演じるので、子どもが、漆にかぶれないようにという面の作者の優しさが感じられます。 昔の人は、こんなところまで考えていてすごいと思いました。 この話は、一番私の心に残りました。 山本家に伝わる面には、700年前のものもあり、代々受け継がれてきた大切なもので、家宝(かほう)というより人類の宝といってもいいと思います。 |
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