1.狂言のこと
私は、狂言大蔵流の山本東次郎さんにお話を伺いました。
能・狂言は平安時代から鎌倉時代にかけて演じられた様々な芸能、猿楽が発展し、室町期になってより高度な理想を追い求める人たちの努力と工夫や都会的なセンスが加わって生まれました。
時代が下がって「猿楽」も代わりに「申楽」という字をあてるようになりましたが、「神楽」が神様に対する芸能であるのに対し「申楽」は人間に対する芸能ということになります。
「狂言」は、セリフによる対話劇で人間のこっけいさ、おろかしいさを描いています。一方「能」は、歌舞劇で人生の悲しさ、苦しみ、美しさなどを描いています。
この二つの演劇は対照的に見えますがもとは一つであったものが二つに分かれてできたもので、二つそろって初めて人の本質を全て表現することができるのです。
だから、狂言と能は「水と油」のように異質なものではなく、「お湯と氷」のように、本質はおなじであるが状態の異なるものの関係なのだそうです。 |