1.澁川さんと本とのつきあい
幼少の頃は、まさに「晴耕雨読」の日々だった。晴れた日には外で野球をしたりして遊び、雨の日は、近所にある親戚の書店の店頭に列んでいる絵本を読んだりして過ごした。これが本とのつきあいの原点といえる。それから60年経ち、66歳の現在までずっと本とのつきあいが続いている。
昭和12年から講談社が発刊した絵本の昔話シリーズ「桃太郎」「金太郎」「さるかに合戦」などを何度も読んだが、それ以降は同じ本を繰り返し読んだ経験は全くない。まだ就学前だったので文字は読めないが、絵をたよりに自分の頭の中で物語を組み立てていた。本を読むことで生身の自分が経験できない世界を知ることができる。例えば、「一寸法師」を読めば昔の京の都にも行けるし、鬼を退治することもできる。五感をフルに使っても森羅万象(宇宙間に存在する全ての物)を知ることは不可能だが、本ならばそれが可能であることを体で知った。
本を読むというのは非常に高等な行為だと言える。例えばサクランボという文字を見て本物のサクランボをイメージすることが出来なければ本を読むことは不可能だから。
よく「私の人生を変えた1冊の本は何か」などといわれるが、読んで「なるほどなぁ」と思ったことはあるが、私自身の人生を変えた本(小説や哲学書など)には出会わなかった。
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