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メイドinスギナミ トップへ VOL.6 救心製薬株式会社 PDFデータ
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products 結晶

大切な心臓をサポートするために

創業者の堀正由が、家伝薬の『ひとつぶぐすり』を売り歩いていた際に、愛用者から「動悸」や「息切れ」など心臓に関連した症状に効いたという声をもとに、ひとつの効能に的を絞ったネーミングを考案した。薬としての品質もさることながら、消費者にわかりやすく、印象に残る名前――。『救心』が長く使われ続けている秘訣は、この戦略的な命名の妙にある。


●中国伝統の万能薬「六神丸」からの出発

最新の『救心』のパッケージ
▲上の写真が、最新の『救心』のパッケージ。ページ上部の大きい写真が初期のパッケージだが、効き目や品質と同様に、ほとんど変わっていない。

『救心』という薬の処方は、古くは中国伝統の製剤「六神丸」に由来する。「六神丸」とは、現在もさまざまなメーカーから発売されている処方の一般名だ。その歴史は17世紀の清の時代にさかのぼるといわれ、日本に伝来されたのは、19世紀の終わり頃だとされている。

救心製薬株式会社の創業者である堀正由が、富山県から上京し、開業するにあたって持参した家伝薬「ひとつぶぐすり」も、「六神丸」の一種であり、『救心』と命名する前は『ホリ六神丸』という名前で発売していた。現在もその名前は、『虔脩ホリ六神丸』という商品名で残されている。

もともと「六神丸」は、強心作用のみならず、五臓六腑に効果を発揮する万能薬。1918(大正七)年から翌年にかけて、スペイン風邪というインフルエンザが大流行した際には、「六神丸」を買うために問屋に大行列ができたという。また、宮沢賢治の短編集『注文の多い料理店』(1924(大正十三)年、自費出版)に収録されている『山男の四月』では、「六神丸」のあまりの効き目に、さまざまな憶測が飛び交う当時の様子が描かれている。当時の需要からいっても、ただ単に『ホリ六神丸』として売り出すだけでも、商品価値はあった。

しかし、同業者と差別化して独自の基盤を築くためには、もうひと工夫する必要がある。堀正由は、『ホリ六神丸』を愛用してくれている人たちの声に耳を傾け、処方や丸剤の大きさなど研究を重ねた。

そして、たどり着いたのが、心臓への効果に着目した『救心』だったのである。

●独自の配合と製剤技術を活かす、高品質の生薬

救心製薬株式会社の屋上にある筑波神社(通称ガマ神社)/写真:加藤アラタ ▲救心製薬株式会社の屋上にある筑波神社(通称ガマ神社)。正真正銘「ガマの油」で有名な茨城県筑波山神社の分祀である。1960年代後半から中国で始まる文化大革命によって、『救心』の主たる成分である蟾酥(センソ)の輸入が不安定になった。その当時、何度も筑波山神社へ御参りして、苦境を乗り越えた堀正由は、自社にも神社を建設。生薬の安定確保とガマ供養、社運隆盛が祈願されている。

現在発売されている『救心』に含まれる生薬は、8種類。シナヒキガエルなどの耳下腺の分泌物である蟾酥(センソ)、オスの麝香鹿の麝香腺分泌物・麝香(ジャコウ)、ウシの胆のう中に生じた「結石」を乾燥させた牛黄(ゴオウ)、ウコギ科のオタネニンジンの根である人参(ニンジン)、サイガレイヨウの角・羚羊角(レイヨウカク)、アコヤガイなどの殻内肉組織から採れる真珠(シンジュ)、フタバガキ科の竜脳樹から得られる樹液の結晶・龍脳(リュウノウ)、ブタの胆汁を集めて乾燥させた動物胆(ドウブツタン)である。それぞれ天然のものであり、ものによって品質にばらつきがあるのは当然だ。
しかし、家庭薬として効果を期待して買う愛用者のためには、一定の水準の製品を常に提供し続けなければならない。

創業者の堀正由が『救心』を発売した当時、労をいとわずに行なったのが原料の精選と、均質で安定した製品の供給だった。その信念は、世界の各産地で吟味された高品質の生薬を仕入れる現在にも、強く受け継がれている。そういった努力の末、長い年月と研究で培われてきた独自の配合や、各成分が体内で有効に働くように考えられた製剤技術が活きてくるのだ

1973(昭和四八)年3月3日に採択されたワシントン条約(「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」)により、発売当時『救心』に使用されていたヒグマなどの胆嚢を乾燥した熊胆(ユウタン)や、サイの角から採れる犀角(さいかく)などは、動物胆(ドウブツタン)や羚羊角(レイヨウカク)など同等の効果があるものに代替された。

そういった生薬の変更はあるものの、高品質で確かな効き目を維持する『救心』は、商標登録されてから73年経った今も、心臓をサポートする家庭薬として、広く人々に愛用され、信頼を得ている。