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メイドinスギナミ トップへ VOL.5 カラス対策黄色いごみ袋 PDFデータ
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Philosophy 哲学

区民が求めるカラス対策を

2001(平成十三)年9月、東京都ではカラス問題担当プロジェクトチームが結成された。「人間と摩擦を起こさないレべル」と判断する七千羽程度を適正数とし、生息環境への対策や賛否両論はあるものの「ボックス・トラップ」での捕獲を行なっている。杉並区でも、同年からカラスよけ目玉袋等の実験を実施。翌年には、カラス一一〇番を設置し、清掃管理課と環境課が共同で、カラス被害への対応や巣の撤去作業を行なっている。さまざまな対策を打ち出すものの、どれも決定打にはならない――。ごみ出しという生活に密着した行為だけに、区からの働きかけだけではなく、区民が主体となって取り組みたいと考える対策が求められていた。


●ごみ袋も時代の変化に合わせて

「散らカラーズ」の名称は、メーカーである三井化学ファブロ株式会社の社内募集によって決定した。300件以上の応募の中から、名古屋支店の女性社員の案が選ばれたのだという。
▲「散らカラーズ」の名称は、メーカーである三井化学ファブロ株式会社の社内募集によって決定した。300件以上の応募の中から、名古屋支店の女性社員の案が選ばれたのだという。

梅里2丁目町会の取り組みは、区長をはじめ関係者の心を揺さぶる。
「当初は、東京23区推奨のごみ袋の基準から外れているから、絶対に無理だと思いました」

第2回目の「黄色いごみ袋」の調査を梅里2丁目町会とともに担当した区の職員は話す。「でも、町会の方たちとお話をしていく中で、いままでのごみ袋の基準が、はたして本当に区民にとって必要で、役に立つ制限なのかと疑問を持つようになりました。『黄色いごみ袋』を使えない理由はないんじゃないかと……」

カラスよけに対する効果は、町会での実験によってある程度までは証明されたものの、広範囲にわたって長期的に継続性があるかどうかは、やってみなくてはわからない。でも、区民から積極的に働きかけがあったことに対して、効果があるかないかもわからない段階で入口をシャットアウトするのは良くない、杉並区のごみ袋にしたいと思うに至ったという。

東京23区清掃協議会での協議を繰り返し、そこで挙がった問題はメーカーの開発部門と調整し、再検討を行なった。しかし、新しいことを始めるときには、抵抗は避けられない。焼却した時の有害ガスの発生や有害重金属含有の有無など、東京23区推奨のごみ袋と同等の検査基準を満たし、まったく同じレベルでクリアしているにもかかわらず、特殊な色であるがために、必要以上とも思えるさまざまな検査とデータの開示を求められた。

「規制緩和がいいことだと断ずるのもいけないけれど、なぜこういう規制があるのか、どういう規制が区民にとって必要なのかということを、調べないというのが一番良くない。調べてみてどうなのかと。ごみ袋の色が青と緑が良くて、黄色がいけないという判断を行政がすることに、本当に意味があるのだろうか、いやそんなはずはない。そう思うに至って区長をはじめとして職員みんなで、何としても区民のみなさんが『黄色いごみ袋』を使えるようにしたいと取り組んできました」

2005(平成十七)年9月13日、「杉並区可燃ごみを収納する袋の特例認定に関する要綱」を制定し、「黄色いごみ袋」を杉並区の可燃ごみ収納袋として認定することが、ついに可能となる。
「『黄色いごみ袋』は、区民の人たちから提案をいただき、それを区役所が受けとめて、一緒に行動してきた証です」

同じ黄色とはいえ、最初の実験のころとは袋の色合いも若干変化している。何度もの改良を加え、現在販売されているカラス対策用可燃ごみ袋「散らカラーズ」が完成したのだ。

●まずは、自分たちで地盤をつくらなくては

区長室にて、2つ目の「ご近所の殿堂」入りを祝う
▲区長室にて、2つ目の「ご近所の殿堂」入りを祝う

「一から区役所や警察になんでもやってくれといっても限度がある。町会のみんなが一緒になってやらなきゃならないこともたくさんあって、区や警察の職員が来る前に、ある程度かたちにしておくのが役目だと思う」

梅里2丁目町会は、「黄色いごみ袋」でもNHK総合テレビの「難問解決!ご近所の底力」で取り上げられ、2005(平成十七)年4月28日に放送された「カラスよさらば 妙案20大行進」でも、全国のカラス対策の一案として2つ目の「ご近所の殿堂」入りを果した。同じ地域が2つも殿堂入りするのは、全国でも初めての快挙。だが、まだまだ改善しなくてはならないことはたくさんあるという。最近は、防犯パトロールに加えて、子どもたちの下校時見守りを行なっている。

「そう何度も引越しするわけにはいかないんだから、ご近所同士が仲良く住みよいまちにしていかなきゃ。一人の力では何もできない。まちの人全体の協力があってこそ、いろいろなことが実現できている」

梅里2丁目町会長・濱田の77歳とは思えないバイタリティと、自治の時代にふさわしい自立した考え方が印象的だ。

なんでもしてもらうのがサービスではない。必要としていないサービスなら嬉しいとも思えないはずだ。区と区民がお互いに切磋琢磨し、より良いサービスを生み出していく。

「カラス対策黄色いごみ袋」は、その典型ともいえる取り組みとなった。