株式会社 タマス

求められ、信頼を寄せられる「バタフライ」ブランド

「バタフライ」ブランドで有名な株式会社タマス(以下、タマス)は、世界トップシェアを誇る卓球用品総合メーカーだ。前身である「タマス運動具店」時代の1949(昭和24)年に、杉並区馬橋(現:高円寺北)に東京出張所を開設。1952(昭和27)年に現所在地である青梅街道沿いの阿佐谷南に移転し、東京支店に改称。1956(昭和31)年には本社を当地に移し、以後60年以上にわたって杉並区を本拠地としている。
「バタフライ」ブランドの強みは、全日本卓球選手権や世界卓球選手権、オリンピック・パラリンピックで活躍するトップアスリートと契約を結び、共同開発を行っているところにある。用具の性能評価を機械で測定するだけでなく、数値化しにくい感覚的な部分は、契約選手に試打してもらい意見や要望を取り入れ、勝つための用具を研究し作り出している。
2016(平成28)年に行われたオリンピック・パラリンピックや世界卓球選手権では、水谷隼選手(※1)や張継科選手(※2)をはじめ、出場選手の半数以上がタマスの用具を使用(※3)。世界ジュニア卓球選手権で史上最年少優勝を果たした張本智和選手(※4)もタマスの契約選手だ。
近年では世界卓球選手権の公式用具スポンサーを担当し、2009(平成21)年横浜大会や2014(平成26)年東京大会などで大会の成功をサポートした。
また、1973(昭和48)年のドイツを皮切りに、中国、韓国、タイに現地法人を展開するなど、世界中をマーケットにするグローバル企業だ。

※1 水谷隼(みずたにじゅん)選手:2016/リオデジャネイロオリンピック・卓球男子シングルス銅メダル、全日本卓球男子シングルスチャンピオン9回
※2 張継科(ZHANG Jike、チャン・ジーカ)選手:2016/リオデジャネイロオリンピック・卓球男子シングルス銀メダル、世界卓球男子シングルスチャンピオン2回
※3 株式会社タマス調べ
※4 張本智和(はりもとともかず)選手:2016(平成28)年の世界ジュニア選手権シングルス優勝

オリンピックで活躍した水谷隼選手はタマス契約選手(写真提供:株式会社タマス)

オリンピックで活躍した水谷隼選手はタマス契約選手(写真提供:株式会社タマス)

「選手は花、私たちは蝶」をモットーに

タマスの創業者は、卓球の全日本トップ選手であった田舛彦介(たますひこすけ)氏である。1946(昭和21)年に山口県で「タマス運動用具店」を開業。1956(昭和31)年には、東京で開催された「第23回世界卓球選手権」で、多くの出場選手に対して用具調査を行った。選手のスペアラケットと自社の用具を交換し試してもらうことで、選手がどのような用具を使用しているかを把握し、トップアスリートの要望に応える用具の開発につながったという。創業時からの「選手を花にたとえるならば、私たちはその花に仕える蝶でありたい」という経営理念は、現在に至るまで、選手の生の声を製品に反映する企業テーマとして受け継がれている。
タマスと卓球界の歴史については、本社2階の史料コーナーにまとめられている。歴代世界チャンピオンが使ったラケットの展示や、卓球競技の歴史を説明しているコーナーもある。1957(昭和32)年にタマスが創刊した卓球専門誌「卓球レポート」も展示されており、表紙を飾る選手を見るだけでも卓球に興味がわいてくる。なお、取材時現在、この史料コーナーは学校などから会社見学の要望があった場合や、バタフライ卓球道場(コラム4参照)を利用する団体の見学時に開放している。

1956(昭和31)年当時の看板

1956(昭和31)年当時の看板

東京(杉並区馬橋)に進出した当時の社屋(写真提供:株式会社タマス)

東京(杉並区馬橋)に進出した当時の社屋(写真提供:株式会社タマス)

本社2階にある史料コーナー

本社2階にある史料コーナー

厳重に情報管理された研究開発

総務チームの村上隆さんに、トップシェアを誇る製品の開発についてお話をうかがった。
埼玉県所沢市に、タマスの研究開発と生産の拠点となる「バタフライ・テック」がある。ここでは化学や材料学に精通する社員が研究開発を行っている。機密情報を扱う研究開発室には、関係者以外の社員は入室を許されないそうだ。
「卓球用品は10年に1度のペースでブレークする製品が誕生します」。この言葉から卓球用品の新商品を生むまでの難しさがうかがえる。取材時には、タマスの製品である「テナジー」というラバーが断トツのシェアを誇っていた。「今までの製品開発は主にシートに注目していましたが、我々はシートとスポンジ(※5)の両方が重要であると、スポンジにも着眼しました。“テナジー”は新しく開発した“スプリングスポンジ”を搭載し、技術革新によって生み出された製品です」。もちろん「テナジー」はバタフライ・テックのみで生産されている。

※5 卓球用ラバーは、シートとスポンジが貼り合わされており、スポンジがラケットと接着している(写真参照)

埼玉県所沢市にある、研究開発と生産の拠点「バタフライ・テック」(写真提供:株式会社タマス)

埼玉県所沢市にある、研究開発と生産の拠点「バタフライ・テック」(写真提供:株式会社タマス)

水谷隼選手使用モデル(写真提供:株式会社タマス)

水谷隼選手使用モデル(写真提供:株式会社タマス)

(※5)卓球用ラバー「スプリングスポンジ」のイメージ画(提供:株式会社タマス)

(※5)卓球用ラバー「スプリングスポンジ」のイメージ画(提供:株式会社タマス)

卓球界の聖地である卓球道場

タマスは、1983(昭和58)年、「日本の若手の強化、卓球底辺の開拓、国際交流」を目的としてバタフライ卓球道場を開設した。プレーエリアは周囲の騒音などに配慮して地下に作られており、卓球台8台が設置をされたスペースをいつでも使用できる。大会公認球を使って練習することも可能だ。
この道場では、杉並区主催の卓球教室や元トップ選手らが指導する卓球教室(4月と9月開始の10回をワンクール)が開かれている。また、15名以上の団体にも貸し出しており、国内トップクラスの強豪チームをはじめ、全国から卓球選手が鍛錬に訪れているそうだ。さらに南米を中心とした海外からの卓球留学も受け入れており、留学生の日本での活動をサポートしたり、無償で合宿所を提供するなど、海外アスリートの育成にも協力をしている。まさにタマスの卓球道場は、卓球界の聖地といえるだろう。

バタフライ卓球道場 (写真提供:株式会社タマス)

バタフライ卓球道場 (写真提供:株式会社タマス)

プレーエリアの照明や床材を厳選している

プレーエリアの照明や床材を厳選している

東京オリンピック・パラリンピックに向けて

タマスでは卓球競技の普及活動の一環として、1989(平成元)年4月からブランド名を冠した「バタフライ ダブルス・チームカップ」を開催している。この大会を始めたきっかけについて、村上さんは「ダブルスはシングルスよりも負けた時のダメージが少なく、卓球経験のない人を卓球の輪に引き込みやすいし、コミュニケーションスポーツとしてもダブルスが最適だと、“ダブルス・チームカップ”を全国的に行うことになったのです。」と話す。2016(平成28)年時点で、年間全国約70カ所で開催され、延べ参加人数は約3万人の大会となっているそうだ。それ以外にも、「らくご卓球クラブ」(※6)に定期的に卓球道場を開放するなどして、卓球競技の認知度向上に力を入れている。
本社の所在地では新社屋の建設が検討されており、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでの完成を目指して準備が進められているという。新しい社屋が卓球界のシンボルとなり、杉並に多くの卓球ファンが集う日がとても楽しみだ。

※6 らくご卓球クラブ:落語家の林家こん平監督、三遊亭小遊三コーチ率いるクラブ

毎年恒例の新春初打ち会(写真提供:株式会社タマス)

毎年恒例の新春初打ち会(写真提供:株式会社タマス)

DATA

  • 住所:杉並区阿佐谷南1-7-1
  • 電話:03-3314-2111(代表)
  • 最寄駅: 南阿佐ヶ谷(東京メトロ丸ノ内線)  新高円寺(東京メトロ丸ノ内線)  阿佐ケ谷(JR中央線/総武線) 
  • 公式ホームページ:https://www.butterfly.co.jp/
  • 取材:ikumi
  • 撮影:TFF、写真提供:株式会社タマス
  • 掲載日:2017年05月15日